
保育園の開設や運営を検討する際、「補助金はどこから支給されるの?」「国と自治体のどちらに申請すればいい?」など、疑問が出てくるケースも多いのではないでしょうか。
保育園に関する補助金は、国・都道府県・市区町村がそれぞれ関与し、目的や制度に応じて仕組みが分かれています。
この記事では、保育園の補助金がどこから出ているのかを整理しながら、概要や基本的な仕組みを分かりやすく解説します。
保育園がもらえる補助金とは?

保育園が活用できる補助金は、大きく以下の3つに分けられます。
- 運営費に関するもの
- 施設・設備に関するもの
- 人材・保育の質に関するもの
まずは、それぞれの補助金の目的や概要を見ていきましょう。
運営費に関する補助金
運営費に関する補助金は、保育園の安定した運営を支えるための制度です。
保育士や調理員などの人件費をはじめ、光熱費や消耗品費といった日常的な運営コストが対象となります。
多くの場合、園児の定員数や年齢構成、配置されている職員数などを基準に算定され、国と自治体が連携して財源を負担しています。
施設・設備に関する補助金
施設・設備に関する補助金は、園舎の新築や増改築、老朽化した設備の更新などに活用できます。
近年では、保育士の業務負担軽減を目的としたICTシステムの導入や、防犯カメラ・安全対策設備の設置に対する補助も拡充されているのが特徴です。
これらは、保育の安全性や効率性を高めるために重要な位置づけとなっています。
人材・保育の質に関する補助金
人材・保育の質に関する補助金には、保育士の処遇改善を目的とした加算制度や、研修費用を支援する仕組みが含まれます。
人材確保が課題となる中、給与水準の引き上げや働きやすい環境づくりを後押しする役割を担っています。
保育園の補助金はどこから出る仕組み?

保育園の補助金は、一見すると国から直接支給されているように思われがちです。
しかし実際には、国・都道府県・市区町村が役割分担して負担する仕組みになっています。
そのため、実際の申請や交付手続きは市区町村が窓口となるケースが多く、補助金の内容や金額は自治体ごとに違いがあるのが一般的です。
例えば、保育園が受け取れる代表的な補助金の一つ「就学前教育・保育施設整備交付金」は、施設の設置主体によって国と自治体の負担割合が異なります。
| 認可保育所の区分 | 補助割合 |
| 公立 | 国1/3、設置者(市区町村)2/3 |
| 私立 | 国1/2、市区町村1/4、設置主体1/4 (待機児童が多い地域や、特定の支援事業を行う場合は、国 の負担率が2/3まで引き上げられる特例もあります。) |
また、認可保育園か認可外保育園かによって、利用できる補助金の範囲は大きく変わります。
認可保育園は国の制度に基づいて運営されているため、運営費補助や各種加算など、継続的な公的支援を受けられるのが特徴です。
一方、認可外保育園は原則として運営費補助の対象外となり、補助金は施設整備や改修など一部に限られます。
そのため、保育料収入を中心に運営するケースが多いです。
【令和7年】保育園がもらえる補助金一覧

保育園の開設・運営に補助金を活用するためには、「どの制度が」「どのような目的で」「どのタイミングに使えるのか」を把握しておくことが重要です。
ここでは、保育園が活用できる「施設・設備に関する補助金」のなかから、代表的な補助金制度を紹介します。
保育所等整備交付金
保育所等整備交付金は、保育施設の新設や大規模な整備を行う際に活用される、代表的な施設系補助金です。
待機児童対策や保育の受け皿拡大を目的としており、以下のようなケースで利用されます。
- 新たに認可保育所を新設したい
- 既存の認可保育所で定員を拡大したい
- 老朽化した園舎や設備を建て替え・大規模改修したい
この補助金は、国から保育園へ直接支給されるものではなく、市区町村を通じて交付される仕組みです。
そのため、補助率や上限額、対象工事の範囲は自治体ごとに異なります。
実際の活用にあたっては、早い段階で自治体の担当窓口へ相談し、事業計画やスケジュールをすり合わせることが重要です。
保育所等改修費等支援事業
保育所等改修費等支援事業は、新築や建て替えほど大規模ではない改修工事を対象とした補助金制度です。
既存建物を活用しながら、保育環境を整備したい場合に利用されます。
- 賃貸物件を活用して新たに保育所を開設する
- 幼稚園に預かり保育用の保育室を増設する
- 認可外保育施設が、認可保育所へ移行するための改修を行う
保育所等整備交付金と比べると補助規模は小さいものの、比較的短期間で実施できる工事が対象となる点が特徴です。
特に、認可化を目指す施設にとっては、基準を満たすための改修費用を補える重要な制度といえるでしょう。
保育所等におけるICT化推進等事業
保育所等におけるICT化推進等事業は、保育士の業務負担軽減や働きやすい職場環境づくりを目的とした補助金制度です。
書類作成や情報共有にかかる時間を削減し、保育の質向上につなげることを狙いとしています。
- 登降園管理や保護者連絡のためにICTシステムを導入したい
- 指導計画、日誌、児童票などの書類をデジタル化したい
- タブレットやパソコンを導入し、園内の情報共有を円滑にしたい
この補助金は、導入するICT機能の数に応じて補助基準額が設定されています。
例えば、機能を1つ導入する場合は1施設あたり20万円、端末購入を伴う場合は70万円が上限です。
機能を4つ導入する場合には、1施設あたり最大80万円、端末購入を含めると130万円まで補助を受けられます。
ICT化は初期費用が課題となりやすい分野ですが、補助金制度を活用することで、長期的な業務効率化と人材定着の両立が期待できるでしょう。
認可外保育施設改修費等支援事業
認可外保育施設改修費等支援事業は、多くの補助金で対象外となりやすい認可外保育施設に対して、一定の条件下で改修費用を支援する制度です。
認可外であっても、安全性や保育環境の向上を目的とした改修については、公的な支援を受けることができます。
具体的には、次のような場面で活用できます。
- 指導監督基準を満たすため、園舎の2階に非常口や避難設備を設置する工事を行う
- 将来的な認可保育所への移行を見据え、基準に適合するよう保育室の面積を拡張する
- 安全対策や衛生面の基準を満たすために、必要な設備改修を行う
この補助金を利用するためには、「認可外保育施設指導監督基準適合化支援計画」や「認可化移行計画」を事前に策定する必要があります。
計画内容や補助対象の範囲は自治体ごとに異なるため、早い段階で自治体窓口へ相談し、要件やスケジュールを確認しておくことが重要です。
都市部における保育所等への賃借料等支援事業
都市部における保育所等への賃借料等支援事業は、地価や家賃が高騰しやすい都市部特有の課題に対応するための補助金制度です。
特に、賃貸物件を活用して保育所を設置・運営するケースでは、家賃負担が経営を圧迫しやすいため、安定運営を支える重要な制度といえます。
以下のようなシーンで活用が可能です。
- 平均家賃が高い都市部で、賃貸物件を借りて新たに保育所を設置したい
- 都市部で保育所を運営しているが、家賃負担が重く、収支が不安定になっている
- 土地取得が難しい都市部で、施設整備補助を使わずに保育所整備を進めたい
賃借料の一部を補助することで、初期投資や固定費の負担を軽減できるため、都市部で保育園運営を行う事業者にとっては積極的に検討したい制度です。
認可化移行のための助言指導・移転費等支援事業
認可化移行のための助言指導・移転費等支援事業は、認可外保育施設が認可保育所へ移行するために必要な費用を補助する制度です。
認可化には、施設基準や運営体制の見直しなど、専門的な対応が求められるため、その負担を軽減する目的があります。
具体的には、次のようなケースが補助対象となります。
- 認可基準を満たすため、専門家や自治体担当者から助言・指導を受けたい
- 現在の建物や立地では基準を満たせないため、別の場所へ移転する必要がある
この制度では、都道府県等の担当者による助言・指導に加え、認可化に伴う移転費用なども補助対象となる点が特徴です。
認可保育所への移行を検討している施設にとっては、計画的なステップアップを支える重要な支援制度といえるでしょう。
保育環境改善等事業
保育環境改善等事業は、特別な配慮を必要とする子どもへの対応や、安全・安心な保育環境の整備を目的とした補助金制度です。
障害児保育や病児保育といった専門性の高い保育を行うために必要な設備投資を、公的に支援してくれる点が特徴といえます。
例えば、以下のようなケースで活用できます。
- 障害児の受け入れを可能とするために、園内をバリアフリー化する
- 施設内に病児保育施設を新設するために、隔離スペースやトイレを新設する
また、健常児に対する保育についても、「熱中症対策のための冷房施設の導入」や「インフルエンザ等の感染症対策のために必要な改修費用」が補助の対象となる可能性があります。
企業主導型保育事業(仕事・子育て両立支援事業費補助金)
企業主導型保育事業(仕事・子育て両立支援事業費補助金)は、従業員の仕事と子育ての両立を支援することを目的とした補助金制度です。
多様な勤務形態や就労時間に対応した柔軟な保育サービスを提供できる点が特徴で、企業や事業所が主体となって保育所を設置・運営できます。
- 企業が自社従業員の子どもを優先的に預かる保育所を設置・運営する
- 複数の企業が共同で保育所を設置し、各社の従業員が利用できる体制を整える
企業主導型保育所は認可外施設に分類されますが、国から整備費や運営費の助成を受けられる点が大きなメリットです。
保育料設定の自由度が高く、開所時間や受け入れ条件を柔軟に設計できるため、人材確保や離職防止の施策として導入する企業も増えています。
保育園運営の新たな選択肢として、検討する価値の高い補助金といえるでしょう。
保育園の補助金申請についてもサイプラス(SAI+)にご相談ください
保育園を新設する場合や、既存施設の改修・リフォーム、認可保育園への移行を検討する際には、国や自治体が実施している補助金を適切に活用することが重要です。
補助金制度は種類が多く、申請要件やスケジュールも複雑なため、計画段階から専門的な視点で進めることが成功のポイントとなります。
私たちサイプラス(SAI+)は、保育園の園舎設計を専門に手がける建築事務所です。
実際の保育現場で働く職員の方々や園の責任者様との対話を重視し、日々の保育が円滑に行える動線計画や、安全性に配慮した設計、子どもの創造性を引き出す空間づくりをご提案しています。
保育園に特化した設計実績があるからこそ、補助金制度の最新動向を踏まえた計画立案や、補助金活用を前提とした設計のご相談にも柔軟に対応可能です。
補助金を活用した園舎の新設・建て替え・改修をご検討中の方は、ぜひサイプラス(SAI+)までお気軽にご相談ください。

