2024年、群馬県高崎市にて竣工した本乳児棟「法輪寺まちなかこども園」は、
地域で長年親しまれてきた天台宗 法輪寺様を母体とする施設の乳児棟として、
「思想」と「機能性」を両立させた設計を目指しました。
0〜2歳児という最も繊細な時期の子どもたちが過ごす空間だからこそ、
安心感とやわらかさ、そして精神性を感じられる建築が求められました。
本計画における最大の特徴は、ファサードに取り入れた“円”のデザインです。
円は仏教において「円相(えんそう)」として知られ、
完全性・調和・無限・悟りを象徴する重要なモチーフです。
円という普遍的な形を通じて、「つながり」「調和」「無限の可能性」といった
メッセージを空間全体に込めました。
この円の思想を建築に落とし込むことで、単なる意匠ではなく、
空間そのものが持つ意味を深めています。
限られた敷地を最大限に活かす立体的な計画
本計画は、限られた敷地条件の中で最大限の保育環境を確保する必要がありました。
その解決策として、建物を敷地いっぱいに配置し、屋上を園庭として活用する
立体的な構成を採用しています。
屋上には安全性に配慮した人工芝を敷設し、都市部でありながらも
身体を動かせる開放的な空間を確保。
空とつながるこの場所は、子どもたちにとって日常の中の特別な遊び場となります。

多用途に活用できるエントランス空間
エントランス付近には、保護者対応や地域交流、催し物などに活用できる
オープンスペースを設けました。
木質感のある落ち着いた内装と、開放的なレイアウトにより、
園児だけでなく大人にとっても居心地の良い場所となっています。
この空間は、単なる通過点ではなく「人と人をつなぐ場」として機能し、
園と地域との関係性を育む重要な役割を担います。

乳児に寄り添う安心・安全な内部空間
内部空間は、0〜2歳児の発達段階に合わせたスケールと安全性を重視しています。
自然素材を基調とした床や建具は、触れたときのやさしさや温もりを大切にし、
落ち着いた環境をつくり出します。
また、視認性の高いレイアウトにより保育士の目が行き届きやすく、
安心して過ごせる設計としています。
トイレや設備も子どもの使いやすさに配慮し、日常の自立をやさしくサポートします。

まとめ|未来を育む空間づくりへ
今回の園舎は、お施主様である法輪寺様との丁寧な対話を重ね、
一つひとつの想いを形にしていく中で生まれました。
また、本プロジェクトの実現にあたり、高い技術力と細やかな配慮で施工を支えてくださった
地元の株式会社 信澤工業を始め本プロジェクトに関わってくださった多くの方々にも、
心より感謝申し上げます。
設計意図を丁寧に汲み取り、細部まで美しく仕上げていただいたことで、
この空間はより豊かなものとなりました。
乳児期は、人としての基盤が育まれる最も大切な時期です。
その時間を過ごす場所だからこそ、単なる機能ではなく、
心に残る空間であることが重要だと私たちは考えています。
ファサードデザインに取り入れた円が象徴する
「つながり」と「調和」を体現したこの園舎が、
子どもたちの未来にやさしく寄り添い続けることを願っています。
ありがとうございました。

