<幼児施設の設計において大切にしているポイント・アイデア-02>

幼児施設(幼稚園・保育園・認定こども園)の設計において、私たちは
いかにこども達の五感(視覚・触覚・聴覚・嗅覚・味覚)を刺激する工夫を
保育の環境づくりの中に取り入れる事が出来るか、という事を心がけています。
私たちが心掛けている取り組みのご紹介として、引き続きの2回目になります。
<②わくわくの空間-02>
虫をつかまえる(ビオトープ)

水辺の生き物や、草や木にとまっている虫など、嫌がる子もいますが、大好きな子もいます。
そして調べたり、観察したり、生き物を身近に感じ、どこにいるか、どんな形をしているか、
何を食べるか、危険ではないか、など少しでも生き物に対する興味を感じることのできる
環境づくりを大切にしています。

芋ほり、野菜を育てる(味わう)

育てる。育つものを見る。食べる。
食育のために畑を設ける園さんも数多くいらっしゃいます。
水や道具置場などの配慮もしながら、出来る限り条件の良い場所に設定できるように
配慮・工夫をします。
自分たちの育てた食材で食事ができればより美味しく感じられることでしょう。

聞こえる・話す(伝声管)

ともだちの声が、通常ならば聞こえない状況のはずであるのに、聞こえるという不思議な感覚を
楽しめる場所。声が伝わる伝声管をお互いに見えない場所に設置したり、見えるけれども窓越し、
壁越しであったり、あるいは上下階間であったりと、設置の仕方も様々です。
触る・遊ぶ(ウォールトイ)

垂直な面にあり、床置きとは違う向きで遊べる感覚。手の届く場所に遊ぶものがあり立って遊ぶ感覚。
重力を感じられるおもちゃです。興味や遊ぶために立ちあがるという動作が自然に生まれます。
床をやわらかくする場合も、手すりを設置する場合もあり、安心して動ける場所にする工夫も
考慮します。また、その他にも壁遊びのパターンはたくさん考えられます。

自由に描ける場所

小さい頃、本来、絵や字を書く壁ではない所に、絵や文字などを描いてしまったことがある方も
いらっしゃるかと思います。絵を描いたり字を書くという事が自由に出来る場所があれば、
そこはわくわくする場所の一つになります。
私たちは壁面全体を黒板やホワイトボードなどにして、自由に描ける場所をつくることも
提案しています。落書きし放題の壁があったら…わくわくします。

自由に描くだけではなく、玄関先などにあれば、給食のメニューや、お知らせなど、
掲示板の代わりにもなりますし、ひとりひとりが課題にそって描けば発表の場にもなります。
様々な事が考えられ、とても便利な場所にもなり得えます。
壁面を黒板にした場合は、床の部分にチョークの粉受けなどを掃除がしやすいように設置したり、
チョーク置場やホワイトボードであればペン置場など、細かい部分で配慮もしています。
<③落ち着く空間>
絵本コーナー:特別感のある場所

本を落ち着いて読める場所はどの園さんも大切にされています。
まるで図書館のように綺麗に並んだ本棚の前のイスであったり、囲われた小さな部屋を
読書コーナーにしたり、テントのように半分覆われた中の読書コーナーであったり、
その在り方は様々考えられます。どのように特別感を出していけるか、といったことを
私たちは意識しています。
せまい空間:居心地の良い場所

前段の「わくわくの空間」でもご紹介させて頂いた、<せまい空間>ですが、落ち着く場所にもなる
不思議な場所です。通り抜けたり、窓からのぞいたりする場所であればわくわくになりますが、
本とベンチを設置すれば、落ち着いて読書ができる、居心地の良い場所にもなります。
建物の形や、敷地の状況などに合わせてより良い形になるよう考えます。

ハンモック・基地

活動的な遊びの中で一息付ける場所として、屋根下の半屋外空間にハンモックを設置したり、
外部の遊びの場所内のどこかに、囲まれた空間「こども基地」などを設置し、
落ち着く空間も提案させて頂けばと考えています。
ハンモックで優雅な気分になれるかも。
~まとめ~

今回は「動き回る」「わくわくの空間」「落ち着く空間」という3つに分けてお伝えしました。
お伝えした内容以外にも様々な場所が考えられますが、どれも子どもたちの感性にはたらきかける
大切な場所になります。
私たちは何か一つでもこういった場所を設けられたら、といった意識で設計を進めていくように、
常に心掛けています。