
保育園の園庭は、子どもたちの成長に欠かせない「遊び」と「学び」が交わる大切な空間です。
ただ走り回るだけでなく、自然にふれたり、仲間と協力して遊んだりする中で、豊かな感性や社会性を育むことができます。
この記事では、園庭が果たす教育的な役割や、安全で創造性を育てる理想の園庭づくりのポイントについて、具体例とともにわかりやすく紹介します。
保育園における園庭の必要性

園庭は、保育園に通う子どもたちの健やかな成長を支えるうえで欠かせない環境の一つです。
外で自由に走り回ったり、遊具で体を動かしたりすることで、運動能力や体力が自然と身につきます。
季節ごとの草花や昆虫にふれることで、自然への関心や生命への理解も深まるでしょう。
特に就学前の子どもにとって、五感を使いながら遊ぶ体験は、脳の発達にも良い影響を与えるとされています。
また、園庭では子ども同士のコミュニケーションが活発に行われる場所でもあります。
友だちと協力したり、ルールを学んだりする中で、社会性や思いやりの心が育まれるでしょう。
近年では、安全性に配慮した人工芝・ウッドチップなどのクッション材を使った園庭も増えており、保育の質を高める空間として見直されています。
遊びと学びが共存する園庭は、単なる遊ぶ場所ではなく、保育方針の一部として設計・活用されるべき場なのです。
保育園に園庭をつくるメリット

園庭は、保育園において必ず作らなければならないものではありません。
しかし、土地やスペースに余裕があるなら、できる限り設計することをおすすめします。
まずは、保育園に園庭をつくる4つのメリットを見ていきましょう。
身近な自然に触れられる
園庭があれば、子どもたちに身近な自然に触れる機会を与えることができます。
季節の草花や虫、蛙などの生き物に触れることで、子どもたちの感性を養うことにもつながるでしょう。
安全な空間で思い切り遊べる
園庭のない保育園の場合、子どもたちを遊ばせるスペースとして、近所の公園や神社の境内などを利用するのが一般的です。
しかし、それらの場所は園児以外の子どもたちも利用する場所で、外部の大人も出入りするため、安全面での十分な配慮が必要となり、保育者の負担にもつながります。
一方で、保育園の敷地内に園庭があれば、園児と職員のみの安全な空間で、子どもたちを思い切り遊ばせることができます。
広い園庭があれば、かくれんぼや鬼ごっこなどの遊びも思い切り楽しめるため、子どもたちの遊び心や探求心を掻き立てることができるでしょう。
砂遊び・水遊びができる
保育園に園庭があれば、子どもたちは砂遊びや水遊びも楽しめます。
自宅ではできない遊びができるので、もっと保育園を大好きになってくれるのではないでしょうか。
飼育や栽培の体験
園庭で動物の飼育や植物の栽培を行い、子どもたちの体験を大事にする保育園も増えています。
園庭にうさぎ小屋を設置していたり、簡易的な畑を作っている保育園もあり、子どもたちは動物への餌やりや、植物への水やりを通じて、命の尊さを学ぶことができます。
保育園の園庭づくりで重要な10のポイント

園庭は、子どもたちにとって単なる遊び場ではなく、心と体、そして人間関係を育てる学びのフィールドです。
保育方針や子どもたちの年齢に応じて、どのような園庭を設計・デザインするかは非常に重要になります。
続いては、保育園の園庭づくりで特に意識したい10のポイントについて解説します。
自然と触れあえる環境

保育園の園庭に芝生や木々、花壇、砂場、水場などを設けることで、子どもたちは四季の移ろいや生き物の存在を身近に感じることができます。
例えば、落ち葉を拾って遊んだり、ダンゴムシを観察したり、雨上がりに水たまりで遊んだりする中で、自然への興味と探求心が育まれるでしょう。
自然環境を取り入れる際には、安全性や衛生面にも配慮が必要です。
無農薬の植物を選んだり、水場の排水機能を工夫したりすることで、安心して自然体験を楽しめる設計が可能になります。
都市部ではなかなか経験できない自然との触れあいを、園庭で実現することは、保育園のブランディングにもつながるでしょう。
運動能力を高める空間

園庭では、日々の遊びの中で自然と運動量が増え、子どもたちの身体能力が高まっていきます。
例えば、鉄棒・うんてい・滑り台・平均台などの固定遊具は、バランス感覚や筋力を育むのに効果的です。広々としたスペースがあれば、鬼ごっこやリレーなど、集団で走り回る遊びも活発に行えます。
また、年齢に応じたゾーニングも重要です。
未満児用には安全性の高い低い遊具や柔らかい素材の床を、年長児には少しチャレンジ要素のある運動遊具を用意することで、発達段階に合った運動体験を提供することができます。
創造力を高める工夫

保育園の園庭設計では、固定遊具だけでなく、自由な発想で遊べるスペースも必要です。
砂場や木片、積み木、廃材など、子どもたちの創造性を高める工夫をするのも良いでしょう。
砂で山や川を作ったり、葉っぱでごっこ遊びをしたりする中で、子どもたちは自分なりの遊びを生み出す力を伸ばしていきます。
また、園庭には落ち着いて絵を描いたり工作をしたりできる「静のゾーン」も取り入れましょう。活動のバランスが取れ、想像力と集中力を養うことができます。
遊びながら学べる環境

保育園の園庭は、子ども同士が自然と関わり合い、ルールや思いやりを学ぶ場でもあります。
滑り台の順番を守ったり、遊具の使い方を教え合ったり、ケンカを通じて仲直りの方法を覚えたりと、日常の遊びの中で多くの社会的な学びを得られるでしょう。
先生の声が届きやすく、子どもたちの様子をしっかり見守れるレイアウトにすることで、安全性を確保しながら自由な交流を促進できます。
さらに、年齢の異なる子ども同士が自然に関わるような環境づくりを意識すると、思いやりやリーダーシップの芽生えにもつながります。
安全性の確保
保育園の園庭設計・デザインにおいては、何よりも安全性を重視することが大切です。
防災性や防犯性に配慮したうえで、安全に遊べる固定遊具を設置しましょう。
遊具は定期的に点検を行い、破損箇所については、迅速な補修も必要です。
子どもたちが安心して遊べる環境を整えることを意識しましょう。
園舎部分との連続性
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園庭と園舎部分との連続性を意識するのもポイントです。
園舎内のホールや遊戯室から直接園庭にアクセスすることができれば、廊下部分のスペースを園庭・園舎として有効活用することができます。
また、子どもたちも園庭に出やすくなるので、活発に動き回ることができるでしょう。
手洗い場・シャワー等の場所

保育園の園庭には、手洗い場やシャワーも設置しておきましょう。
砂遊びを楽しんで泥だらけのまま園舎に入ると、園舎があっという間に汚れてしまい、保育者の負担が増えます。
子どもの動線に合わせ、園庭から園舎へと続くスペースの途中に手洗い場とシャワーを設置するのが望ましいです。
トイレの場所
保育園の園庭を設計する場合、トイレの場所にも気を配る必要があります。
子どもたちが遊んでいる途中にもトイレに行きやすいよう、園舎内の園庭に近い場所にあるのがベストです。
日よけの設置
暑い季節に子どもたちを園庭で遊ばせるときは、熱中症対策が欠かせません。
園庭全体に日よけをつけるのは難しいですが、一部スペースだけでも日よけを設置しておけば、子供達が日陰で休憩できるようになります。
また、長時間同じ場所で遊ぶことが多い砂場には、部分的な日よけがあると安心です。
日よけは暑い日差しを遮ってくれるだけでなく、急な雨の際に雨宿りの場所としても活躍してくれます。
門・フェンス等の設置
園庭にも、外に直接出ることができる門があると便利です。
避難経路として活用できるのはもちろん、行事の際の保護者の出入り口としても活用できます。
ただし、園庭から勝手に子どもたちが飛び出してしまわないよう、門の鍵は基本的に施錠しておきましょう。
また、子どもたちが飛び越えられない高さのフェンス等を設置することも大切です。
保育園の自然あふれる園庭の事例
自然とのふれあいを重視した園庭づくりは、子どもたちの感性や創造力、社会性を育むうえで非常に効果的です。
ここでは、自然と共存する保育園の園庭デザイン事例を4つ紹介します。
創造性を育む「子ども基地」

「大地の恵みのなーさりぃ」の園庭は、一角に水の流れる川があり、その近くに子ども基地が建てられています。
子どもたちは、まるで秘密基地のような感覚で出入りし、ごっこ遊びや探検遊びを通して想像の世界を広げられるでしょう。
高低差のある構造や木陰を活かしたスペース設計により、遊びの幅が広がり、自発的な遊びが自然と生まれる工夫がなされています。
五感を刺激する「自然のすべり台」

敷地内に元々あった起伏は、自然のすべり台(丘)として生まれ変わりました。
子どもたちが走ったり、転がったり、寝そべったりと、毎日さまざまな遊びが展開されています。
芝生の丘をすべる感覚は、体全体を使って自然と一体になる体験であり、バランス感覚や体幹の強化にもつながります。
季節ごとの草の匂いや風の感触、虫の声など、すべてが五感を刺激し、子どもたちに豊かな感受性をもたらすでしょう。
学びがあふれる「菜園・果樹園」

園庭の一角には菜園や果樹園があり、子どもたちは土にふれ、種をまき、水をやり、収穫するまでの一連の流れを体験します。
例えば、ナスやトマト、サツマイモなどの野菜や、ブルーベリーやミカンなどの果物を育てることで、食への興味関心を高め、命の大切さを学べるでしょう。
収穫した野菜を給食に使うと、子どもたちの「食べたい気持ち」も自然と高まります。
社会性を養う「異年齢保育環境」

「にのみや認定こども園」の園庭は、年齢の異なる子どもたちが一緒に過ごせるように設計されています。
年長児が年少児の遊びをサポートしたり、危険を察知して教えたりすることで、リーダーシップや思いやりの心が育っていくでしょう。
遊具のサイズや難易度も多様に配置されており、さまざまな年齢が同時に楽しめるバランスの取れた環境です。
園庭が、学年の垣根を越えた社会性を育む場となっています。
園庭がない保育園の園舎設計はどうする?

土地の広さや場所の関係で、園庭を設置できない保育園もあるでしょう。
保育園併設のマンションなども増えています。
「園庭がなければ、楽しい保育園にならない」というわけではありません。
園庭がない保育園の場合は、保育室やホールの設計を工夫して、子どもたちがのびのびと遊べる環境を整えてあげましょう。

例えば、室内空間に遊びを取り入れたり、園舎内のホールを仕切りによっていろいろな使い方ができるようにするなど、工夫の方法は多数あるので、設計事務所に相談してみることをおすすめします。
保育園の園庭設計・デザインはサイプラス(SAI+)にご相談ください
子どもたちの成長を支える園庭づくりには、安全性はもちろん、創造性や学びを引き出す工夫が欠かせません。
サイプラス(SAI+)では、自然素材や地形を活かした設計を得意とし、保育理念に合わせたオリジナルな園庭デザインをご提案しています。
これまでの豊富な実績をもとに、子どもたちがのびのびと遊びながら学べる理想の空間を実現できるでしょう。
園庭の新設やリニューアルをご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

