<幼児施設の設計において大切にしているポイント・アイデア-01>
幼児施設(幼稚園・保育園・認定こども園)の設計において、私たちは
こども達の五感(視覚・触覚・聴覚・嗅覚・味覚)を刺激する工夫を、
いかに保育の環境づくりの中に取り入れる事が出来るか、という事を心がけています。
今回は、幼児施設の設計において大切にしているポイント・アイデアを2回に分けて、
こどもたちの生活・活動における環境づくりに注目しながら詳しくお伝えしたいと思います。
<①動きの空間>
幼児施設の設計においては特に大切にされる事の一つに子どもたちの運動能力の向上があります。
それは「園庭」の在る無しに関わらず求められる事であり、運動と合わせて好奇心を掻き立てたり、
物事を発見をする事を共有するなど、出来る限り工夫して体を動かせる環境を取り入れる事を
意識しています。様々な項目に対して私たちが工夫していることをご紹介したいと思います。
走り回る(回遊性)
走り回る事ができる空間として、園庭やホールなどがあります。
園庭は単調にならないよう、高低差があれば高低差を生かし、大きな木があれば木を生かせるように、
できる限り「敷地の特性」を生かせるようにしたいと考えています。
ホールに対しては保育室と園庭をつなげる中心的な位置づけをし、お互いにつながりあうような
工夫やランチルームを兼ねる演出もします。
園庭やホールを確保できない場合もたくさんありますが、
その場合においても、園舎内に行き止まりをなくしたり、空間を出来る限り一体的にするといった
工夫をする事によって、走り回れる空間がうまれるなど、何かできることを提案させて頂いています。
水で遊ぶ
水を使った遊び場としては、じゃぶじゃぶ池などがあります。
高い所から低い所へ水が流れる設定にする事で、流れにまかせて動いたり、
また流れに逆らって動いたり、流れを止めたり、多様な動きと発想がうまれます。
水を循環させることや井戸水を利用する事で水を大切に使う意識もできます。
また、ほとんどはプール遊びを取り入れていますが、プールも園庭や屋上など
設置する場所によって動きが変わってきますので、日差しや視線に配慮した設計、
排水の計画、プールの収納場所、収納方式なども考える事が大切です。
滑る
滑って遊ぶ要素として、遊具の滑り台だけでなく、自然の斜面を取り入れ、
滑りやすい状況をつくる事で天然の滑り台をつくるなどの場所づくりも提案します。
また、滑り台でも、直接建物の一部から滑り降りるように設置するなど、建物を生かして設置し、
楽しめるような工夫も考えています。
登る(木・壁・斜面)
登るという動きに対しては、登れる木を設定したり、元々生えている木があればそれを生かし、
また、登れる遊具を設定する事もしています。
園庭の有無に関わらず、クライミングウォールの採用や、ロフト空間を利用した
室内での上下移動が出来る空間なども設定し、登るという動きがうまれる工夫をしています。
<②わくわくの空間-01>
園舎や園庭には、こどもたちの好奇心や感性を刺激するような、わくわくする環境を
出来る限り工夫した形で取り入れる事を意識しています。
どろんこ遊び
水と土をセットにすると、どろんこ遊びが出来るような場所もできます。
ダムをつくったり団子をつくったり、水の流れや、水を含む量によって変化する土を楽しめる
環境を大切にします。汚れた体を洗う手足洗の形にも工夫をし、綺麗になった手足が
再度汚れないようにする等の工夫もしています。
「せまい」空間
園舎という特性上、自宅と違い、ほとんどの場所が広く確保されています。そういった中ですので、
こどもたちは「せまい」空間が大好きになります。「せまい」空間は不思議な場所で、落ち着ける場所
でもあり、わくわくする場所にもなります。
子どもたちが潜り込むような「せまい」場所を、「den(でん)」と呼んだりもします。
窓から見える
見える=視線が通る という事を利用する事で、わくわくするような場所を設定します。
特に窓越しに視線が通る空間は、わくわくします。
壁や床があることで見えない事が当たり前で、特に意識する事ない場所であっても、
1つ窓があったり、穴が開いているだけで壁や床の向こう側が見えるようになり、
様々な遊びがうまれたり、やりとりがうまれます。
そこが囲われた場所であったり、せまい場所であれば、一層わくわくした場所になると考え、
提案させて頂いています。