保育園の環境設定とは?3つの構成要素と考え方、具体例を紹介
保育園の園舎を設計する際には、環境設定について考慮する必要があります。
環境が整った園舎なら、子どもたちがのびのびと楽しく過ごすことができるでしょう。
この記事では、保育園における3つの環境構成、保育園の環境設定を考えるポイント、具体例を紹介します。
保育園における3つの環境構成
保育園の園舎を設計する際は、以下の3つの環境構成を考慮する必要があります。
人的環境
まず1つ目が、人的環境です。
保育者は、子どもたちが安心して過ごせるように、園内の人的環境を整える必要があります。
保育園の子どもたちは、保育者やクラスの友達はもちろん、異年齢の友達や地域の方など、たくさんの人達と関わりながら過ごします。
もちろん、楽しいことばかりではなく、ときには喧嘩になってしまい、嫌な気持ちになることもあるでしょう。
しかし、喧嘩は決して悪いことばかりではありません。
人間関係について悩んだり、落ち込んだりすることは、子どもたちの発達段階においてとても重要なことです。
大切なのは、喧嘩がヒートアップしてお互いに傷つけてしまうことがないように、保育者がしっかり見守ることです。
特に低年齢のクラスでは、人的環境を整えるために育児担当制(おむつ替えや食事の世話などを特定の保育者が担当する制度)を設けるなどの工夫も必要になるでしょう。
また、異年齢の友達との関わりが持てる「たてわり保育」も、人的環境を整える方法の一つとされています。たてわり保育を行うことで、上の年齢の子どもたちは下の年齢の子どものお世話をし、下の年齢の子どもたちは上の年齢の子どもたちへ憧れを覚えます。
これは学校生活における先輩後輩や、仕事上の上司部下の関係にもつながっていく人間関係の基本的な形です。
物的環境
次に考えるべきなのは、物的環境です。
保育園の園舎はもちろん、園庭や遊具、玩具・絵本置き場などが、保育に相応しい環境として整っているかを考慮する必要があります。
子どもたちが遊ぶのに適した広さがあるか、玩具や絵本はきちんと整理整頓されているのかなど、チェックすべきポイントはたくさんあります。
また、ドアの開閉で手を挟みそうな場所はないか、頭をぶつけそうな角はないかなど、安全面に着目して物的環境を設定することも大切です。
自然や社会の事象
子どもたちは、保育園での生活を通じて、自然や社会の事象を学びます。
そのため、自然の温かみや社会の在り方を学ぶことができる環境設定も必要です。
例えば、園庭に畑を作り、子どもたちと一緒に野菜を栽培してみるのも良いでしょう。
種をまくと芽が出ること、収穫した野菜で料理が作れることなど、さまざまな事象を学ぶことができます。
保育園の環境設定を考えるポイント
保育園の環境設定を考えるうえで、重視すべきポイントは以下の3つです。
子どもの健康・安全に配慮
まずは、子どもたちが安心して園生活を送ることができるよう、健康と安全に配慮することが大切です。
園舎の床材に転んでも怪我をしにくいクッションフロアを採用したり、扉の開閉時に指を挟みにくいドアを採用したり、園舎設計における安全への配慮ポイントはたくさんあります。
詳しくは以下の記事で紹介しているので、参考にしてみてください。
保育園・幼稚園・認定こども園の安全対策は設計から!施設内設備のチェックポイントも解説
子どもの自主性を高める
昨今の保育園では、子どもの自主性を高める保育が求められています。
与えられた遊びをやるだけでなく、子どもたちが自発的に遊びを考えることができるような環境を整えてあげましょう。
例えば、発達段階に合わせた遊具や玩具、自由な発想で遊び方を考えられる空間を用意するのがポイントです。
また、大人の力を借りなくても排泄ができるよう環境を整えてあげると、子どもたちは1人でトイレに行けるようになります。
人や自然と関わりがもてる
保育園でたくさんの人や自然と関わることで、子どもたちの心は成長します。
環境設定の際には、たくさんの大人や友達と関われる環境を整えてあげましょう。
例えば、たてわり保育が難しくても、同じ時間帯に異なる年齢の子どもたちを園庭で遊ばせることで、自然と異年齢の子ども同士のコミュニケーションを促すことができます。
また、どの年齢でも遊べる遊びを提供してあげることで、一緒に取り組みながら交流することができるでしょう。
保育園の環境設定、園舎設計の具体例
続いては、保育園の環境設定や園舎設計の具体例をいくつか紹介します。
遊びの拠点「子ども基地」
栃木県市鹿沼市の保育園「大地の恵みのなーさりぃ」様の園庭には、水の流れる川や子どもたちが自ら育てている菜園や果樹園があります。
それらの近くに建つのが「子ども基地」です。
子ども基地は、子どもたちが自ら発見したことを調べたり、情報を収集したりできる拠点となっています。子どもたちの自主性を育むのに適した環境です。
落書きのできる「大黒板」
また、栃木県市鹿沼市の保育園「大地の恵みのなーさりぃ」様の園舎内には、自由に落書きが楽しめる大黒板があります。
子どもたちの創造力を高めてくれるのはもちろん、「上手な絵だね」「何を書いているの?」など子ども同士の自然な関わりも生み出してくれるスポットです。
厨房が見える「窓」
神奈川県大和市の保育園「あーす保育園 中央林間」様の廊下には、厨房が見える大きな窓が設置されています。
調理員さんたちが食事を作ってくれる姿をみることで、子どもたちの食育につながります。
絵本のある「絵本のみち」
埼玉県川口市の保育園「はちまんぎ保育園」様の園舎には、子どもたちが自由に楽しめる「あそびのみち」があります。
なかでも人気が高いのが、本棚とベンチがある「絵本のみち」です。
絵本のみちは、子どもたちが自主的に本を取り、楽しめる場所になっています。
保育室側からも様子が確認できるように小窓が設置され、安全面にも配慮した設計になっているのがポイントです。
ほかにも、ボルダリングができる「探検のみち」、下の階や隣の部屋を覗ける「窓のみち」など、子どもたちが安心して楽しめる環境が用意されています。
園庭とつながる「園舎」
千葉県君津市の保育園「スクルドエンジェル保育園もくし園」様の園舎は、ホールと保育室の両方が園舎に面する「園庭と直接つながる園舎」です。
子どもたちがのびのびと過ごし、自ら行動ができる自主性を育むことを目的として設計されています。
保育園の環境設定・設計はサイプラス(SAI+)にご相談ください
子どもたちがのびのびと安全に過ごすことができる保育園の園舎・園庭を設計するには、環境設定を考慮する必要があります。
私たちサイプラス(SAI+)は、保育園・幼稚園・認定こども園の園舎を数多く手がけてきた設計事務所です。
子どもたちが自分で考えて行動ができるようになる園舎の設計をお手伝いさせていただきます。
もちろん、安全対策を踏まえた設計を行っておりますので、ご安心ください。
私たちは、保育者様や園の責任者様とのコミュニケーションを非常に大切に考えております。理想の園舎・園庭のプランがある方はもちろん、どのような園舎を設計すべきか迷っている方も、ぜひお気軽にご相談ください。