
保育園の設計は、子どもたちの安全や快適性はもちろん、保育士の動線や保護者の利便性にも配慮する必要があります。
さらに、保育方針や地域の特性に応じた空間づくりも求められるため、単なる施設設計にとどまらず、細やかな計画が重要です。
この記事では、保育園設計の基本的な考え方とともに、設計時に気をつけたい注意点についてわかりやすく解説します。
保育園設計の考え方

まずは、保育園の設計における基本的な考え方について解説します。
子どもたちの安全が最優先(安全性)
保育園設計において最も重要なのは、子どもたちの安全を確保することです。
設計の段階から、安全性を最優先に考える必要があります。
例えば、段差の解消や転倒防止のために、床はフラットで滑りにくい素材を使用しましょう。扉や窓には指はさみ防止のストッパーを設置し、家具や遊具の角は丸く処理するなど、子ども特有の事故を防ぐための工夫が求められます。
ただ、安全性の高い事はいき過ぎた配慮という観点もあり、園の方針によって調整して行くことも大切です。
さらに、災害時に迅速な避難が可能となるよう、複数の避難経路を確保しておくことも大切です。
建物の避難の基本的な考え方は上階から避難階(1階)への経路を考慮しますが、海に近いエリアなどは
津波に備えて建物屋上への避難経路を確保する場合も近年多くなっています。
避難口や非常用階段の位置、緊急時の連絡体制など、ハード・ソフトの両面で安全対策を組み込みましょう。
子どもの発達を促す空間づくり(快適性)
保育園は、単なる「預かりの場」ではなく、子どもたちの「成長を育む場所」でもあります。
そのため、子どもの好奇心や創造力を引き出す設計が求められるでしょう。
年齢に応じた運動・遊び・学びが自然にできるよう、発達段階を考慮した空間づくりが重要です。
例えば乳児には静かで安心感のあるスペース、幼児には身体を動かせる広々とした遊び場が適しています。自然光がたっぷり入る大きな窓や、天井の高い設計にすることで、開放感と明るさを確保し、子どもの心理的な安定にもつながるでしょう。
また、園庭やウッドデッキ、自然とふれあえる植栽スペースを設けると、外遊びや自然観察の機会も増え、五感を刺激する環境が整います。
保育士が働きやすい動線・視線設計(機能性)
子どもたちが安全・快適に過ごせる空間をつくるには、保育士が効率よく動ける環境づくりも不可欠です。
保育中の視認性や移動のしやすさを考えた設計が基本となります。
例えば、保育室・調理室・トイレ・職員室などを無理のない配置でつなぎ、最短距離で動けるようにすることで業務効率が上がります。
死角をなくし、間仕切りを低くして視認性の高いレイアウトを採用することで、保育士が常に子どもたちの様子を把握でき、保育士同士の連携もとりやすくなるでしょう。
地域や保護者とのつながり(地域性)
保育園は地域に根ざした存在であるため、保護者や地域住民とのつながりを意識した設計も重要です。
例えば、送迎時に立ち寄りやすいよう、玄関ホールにはベンチや掲示板を設置し、保護者が情報を確認しやすくします。
また、園行事や地域交流イベントに利用できる多目的ホールを備えることで、地域のコミュニティセンターとしての役割も果たせるでしょう。
さらに、地元の建材や職人技を活かした内装デザインを取り入れると、地域との一体感が生まれ、愛着のある施設として長く親しまれやすくなります。
保育園設計で重要なポイント

続いては、保育園設計で重視すべき5つのポイントについて解説します。
保育園の設置基準を確認
保育園を設計・建築する際には、国や自治体が定める設置基準を遵守しなければなりません。
設置基準を満たしていない場合、認可が下りず、運営開始が大幅に遅れるリスクもあります。
例えば、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」では、0歳児用の乳児室は1人あたり1.65㎡以上、ほふく室は3.3㎡以上、2歳以上児の保育室または遊戯室は1人あたり1.98㎡以上と定められています。
さらに、採光や換気、トイレの配置などについても細かい規定があります。
また、自治体によっては独自のガイドラインや助成制度があるため、地域の保健所や自治体の窓口に事前相談しておくと安心です。
設計前に基準のすべてを洗い出し、設計プランに的確に反映させることが求められます。
実績のある設計事務所に依頼
保育園設計には専門的な知識と経験が求められるため、実績のある設計事務所に依頼することが非常に重要です。
子どもの行動特性に合わせた空間設計、安全基準への対応、保育士の動線の工夫など、一般的な建築設計とは異なる配慮が求められます。
保育園や認定こども園、幼稚園などの設計経験が豊富な事務所であれば、行政との調整もスムーズに進むケースが多く、補助金制度や認可取得までのプロセスにも詳しい傾向があります。
依頼前には、ホームページやパンフレットで過去の設計事例を確認し、実際に見学できる施設があれば訪問して、動線や空間の使い方などを体感するのがおすすめです。
コンセプトの決定
保育園の設計においては、明確なコンセプトを持つことが大切です。
例えば、「自然とふれあう保育」や「モンテッソーリ教育に対応した空間」「地域とのつながりを大切にする園」など、保育方針に沿った空間づくりを行うことで、教育内容と環境が一致し、園としての一貫性が生まれます。
保育理念や教育方針を反映したコンセプトに基づいて園舎を設計することにより、他の園との差別化や、園のブランディングにもつながるでしょう。
間取り・デザインの決定
間取りやデザインは、子どもたちの安全・快適な生活と、保育士のスムーズな業務の両立を意識して検討しましょう。
例えば、保育室と園庭を直接行き来できるようにすることで、屋外活動の導線がスムーズになり、自然とのふれあいも増やせます。
また、食育を意識して調理室をガラス越しに見えるようにしたり、子どもたちが自発的に活動を選べるゾーニング(遊び・静養・食事・学びの空間を分ける)を導入する園も増えています。
デザイン面では、温かみのある自然素材の採用や、遊び心のある内装を演出が人気です。
間取りやデザインを決める際には、実際の設計事例が参考になります。
特に、自然素材の取り入れ方や、保育士の動線設計の工夫、子どもたちが自主的に遊びに取り組める空間づくりなどは、当事務所の設計事例をぜひ参考にしてください。
■サイプラス(SAI+)の保育園設計事例はこちら
安全性の配慮
安全性への配慮は、保育園設計のあらゆる要素に反映させるべきでしょう。
段差を極力なくし、滑りにくい床材を使用することで転倒リスクを低減できます。
さらに、コーナー部分を丸く加工したり、扉や引き出しには指はさみ防止機能をつけるなど、子ども目線での安全対策が必要です。
視認性を高めるレイアウトにすることで、保育士が複数の子どもを同時に見守れるようになり、事故の早期発見・防止にもつながります。
また、セキュリティ面としては、不審者の侵入を防ぐオートロックや監視カメラの設置も検討すると良いでしょう。
安心・安全な設計は、保護者の信頼獲得にも大きく関わります。
保育園の設計では、もっとも丁寧な配慮が求められる重要なポイントです。
保育園の設計事例一覧

私たちサイプラス(SAI+)は、保育園や幼稚園、認定こども園などの設計に特化した設計事務所です。
ホームページ上で保育園の設計事例を多数紹介し、施設ごとの特徴や設計コンセプト、工夫したポイントなどを写真付きで詳しく掲載しているため、ぜひ参考にしてください。
例えば、サイプラスでは、以下のような園舎の設計実績がございます。
■園庭と直接つながる園舎

■園庭をできるだけ広くするため、建物の下に駐車場を設計した園舎
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■落書きのできる大黒板や隠れ家のような絵本スペースを設けた、子どもたちの創造性を育む園舎

■廊下をなくし、園庭と園舎のつながりや、園舎内の場所のつながりを創出した園舎

■カフェのような温かみがある、病児保育園の園舎

幼児施設の設計を専門的に行うサイプラスでは、園の保育方針や地域特性に合わせて、使い勝手と個性を両立した設計を行っています。
■国・自治体における保育園の設置基準を遵守した設計
■子どもたちの安全性と快適性を重視した空間設計
■保育士の働きやすさを考慮した動線設計
■子ども心をくすぐる、遊びスペースの設計
最近の傾向として、木材などの自然素材を多用した、温かみと安心感のある園舎設計が人気を集めています。
また、異年齢の子どもたちの交流を促すため、吹き抜けスペースや一体感のある空間を設けている園も多いです。
保育園の設計はサイプラスにご相談ください
保育園の設計では、子どもたちの安全性や快適性、保育士の働きやすさなどに配慮したうえで、国や自治体の基準を遵守することが求められます。
考慮しなければならない要素が多岐に渡るため、設計については、保育園の園舎設計を専門的に手がける事務所に依頼するのがおすすめです。
私たちサイプラス(SAI+)は、保育園や幼稚園、認定こども園などの幼児施設の設計に特化した設計事務所です。
これまで、さまざまなコンセプトを持つ保育園の園舎・園庭設計を手がけてきた実績がございます。
設計事例については、ホームページ上で公開しておりますので、ぜひご覧ください。
また、何よりも対話を大切にしており、園の責任者の方や実際に働く保育士の方々の意見も積極的に取り入れながら、最適な設計プランをご提案いたします。
保育園の設計をお考えの方は、ぜひサイプラスにご相談ください。

