令和6年2月に岐阜県美濃加茂市内の法人様の設計者選定プロポーザルにて、
弊社を設計者として選定して頂きました。ありがとうございました。
市内の保育園の園舎を建替えて新しく認定こども園とする事業です。
保育園を使いながらの工事になることや、近隣の方への配慮など、ひとつひとつ丁寧に、かつ
しっかりとお手伝いさせて頂きたいと思います。

当社では子どもたちが豊かな心を育てるための環境を園舎・園庭という空間に
設計者としていかに提供する事が出来るかという事を基本方針としています。
今回の提案では、これから設計の各段階で、自然、コミュニケーション、地域社会との連携を
重視し、子どもたちが毎日を楽しみながら学び、感じることができる空間を創出していけるような
提案を心がけ、このような環境が子どもたちの知識やスキルだけでなく、
社会性や感受性の向上にもつながるような彩(いろどり)のある園舎を
お施主様と一緒に創っていければと思い提案させて頂いています。
自然とのつながり
当計画は、岐阜県美濃加茂市という自然豊かな地域に建てられる認定こども園として
自然環境と深く結びついた園舎・園庭を提案していきたいと思っています。
子どもたちが自然のリズムと調和しながら成長できるように心掛け、園庭は、
多様な植物と菜園を整備し、子どもたちに四季の変化を体感させながら、
生態系や植物の生長プロセスを学ぶ場を設けます。
園舎設計においても、大きな窓を設けることで自然光がたっぷりと入るようにし、
季節ごとの自然の美しさを室内からも感じられるよう計画しています。
子どもたちは、菜園での活動を通じて種まき、水やり、成長の観察、収穫といった
一連の過程を自らの手で体験できます。
このプロセスは、生物の成長に必要な条件や季節の変動の理解を深めるだけでなく、
食べ物の価値と自然への感謝を自然に学ぶことができ、収穫した野菜は園の調理室で使用され、
子どもたちがその過程を見ることができるようエントランスホールにガラス張りの窓を設けることで、
食材がどのように料理され、食卓に並ぶまでの工程を目の当たりにすることで、
食べ物への興味と尊敬の念を育みます。
さらに、当園では自然教育の一環として、季節ごとに様々な自然体験活動を企画しており
季節に合わせた活動を通じて、自然の中で直接体験する楽しみを年間行事として行っています。
これらの活動は、子どもたちの探究心を刺激し、自然に対する深い理解と
親しみを育むことに役立ちます。
当法人の自然とのつながりを重視した教育方針は、子どもたちにとって
単に知識を増やすだけでなく、自然と調和した生活のリズムを身につけさせ、
健康的でバランスの取れた生活を送る基礎を築くことを目指しおり、
これらの経験が全ての子どもたちにとって貴重な学びの場となり、
生涯にわたって自然を大切にする心を育てることにつながると信じています。
人とのつながり

今回の提案では、子どもたちが互いにコミュニケーションを取りやすいように工夫し
計画を進めています。異年齢の子どもたちが自然と交流できる空間を設計し、
小さな子供から大きな子供までが互いに学び合い、成長する機会を
空間として提供できるよう計画を進めています。
このような環境は社会性と共感力を高めることに役立ち、子どもたちが他者との関わりの中で
感情を豊かに表現する力を自然と育む事が出来る園舎となります。
園内には、子どもたちが自由に集まり、遊びながら学べるような
プレイルームや絵本コーナーを設けることで、日常的に様々なアクティビティが行われ、
子どもたちが集団での遊びやプロジェクトに参加することで、
協力する喜びやチームで動く重要性を学びます。
また、保育士や保護者が一緒になってイベントを企画・運営する中で、
子どもたちに計画性や組織的な思考を学ぶ貴重な機会となります。
さらに、地域社会との連携を深めるために、園舎内には地域の方が自由に利用できるスペースとして
地域交流スペースを計画しています。
ここでは、地域の住民や保護者が日常的に自由に使えるスペースとして機能し
園のイベントに参加したり、地域の集まりが開催されたりすることで、園児たちは
多世代の人々と触れ合うことが可能となります。
このような交流は、子どもたちに広い視野を持ち、多様な価値観を理解する機会を与えます。
当計画では、子どもたちの人間関係の構築に重点を置いており、
それぞれの子が自己表現のスキルを磨き、他者との健全な関係を築くことができるように
サポートし、そういった機会が自然と発生するような空間構成となるよう計画を進めています。
この人とのつながりを大切にする当法人の教育方針は、
子どもたちが未来の社会で活躍するために必要な人間関係の基盤を形成するのに役立つと思われます。
お施主様との共創

現在当園の設計は、お施主様との緊密な協力のもと進められています。
私たちは、お施主様のビジョンと具体的な要望を理解し、それを実現するために
日々色々なアイデアを提案しながら詳細な計画を進めています。
このプロセスでは、お施主様からのフィードバックを積極的に取り入れ、
一緒に園舎のデザイン及び機能を洗練させていきます。
これにより、園舎がただ機能的なものではなく、地域や利用者のニーズに
真に応える施設となるよう努めています。
提案の打合せ時は、私たちの意図がより伝わるようにパースや動画などを
リアルタイムで提示する事で設計者とお施主様のイメージの食い違いをなくすよう
心がけながら進めていきます。
私たちは、お施主様が持つ独自の保育に対する考え方や経験を大切にし、
それを園舎及び園庭の設計に活かしています。
例えば、当法人様の絵本教育の考え方や地域の文化や伝統、つながりを大切にした
イベントなど、お施主様の提案に基づくアイデアを取り入れることで、
園全体の魅力を高め、より豊かな保育環境となるよう計画を進めています。
また、この共創のプロセスは、お施主様だけでなく、地域・園に通う子どもたち・保護者、
ゆくゆくは実際に建設をしていただく施工業者が決定したら施工業者も含めて、
それぞれの意見を取り入れ反映する事で最終的に彩(いろどり)のある
特色ある園舎となっていきます。
園の運営方針や施設の利用方法について打合せを何度も交わし、
プロジェクトはより包括的な視点で進められ、多くの人々に支持される園舎を作り上げることが
可能となります。
この共創の精神は、私たちの設計しお届けする園が単なる保育施設ではなく、
コミュニティの一員として地域社会に貢献する場であるという理念を体現しています。
お施主様と手を取り合いながら、子どもたちが安心して学び、成長できる環境を
創り上げていくことが私たちの最終目標です。
保育理念と方針
当園の保育理念は、「一人ひとりを尊重した保育の実践と子どもたちの心と身体の成長を
全面的に支えること」にあります。私たち設計者は、安全で安心な環境の提供を最優先事項とし、
それぞれの子どもが持つ無限の可能性を最大限に引き出せるよう努力していきます。
お施主様の保育理念のもと、園舎設計において、探究心を刺激し、
創造力を育む活動が出来る園舎となるよう計画を今後進めていきたいと思います。
この園舎では子どもたちが自ら問題を見つけ、解決策を考えるプロセスを通じて、
自立心と協調性を養うことが出来るような工夫とアイデアを計画の中に落とし込みながら
進めていきたいと思います。
さらに、当プロジェクトでは地域社会との連携を重視し、地域の資源を活用した保育や、
地域住民や保護者との共同プロジェクトなどを積極的に行っていく事により、
子どもたちは多様な文化や価値観を理解し、広い視野を持つことができるため、
そういった機会があれば積極的に取り入れながら進めていきたいと思います。
終わりに
私たちSAI+建築設計事務所の認定こども園の設計では、「つながり」と「感じる」の理念を
基にしています。この理念は、子どもたちが自然、他者、そして地域社会と深いつながりを
持ちながら成長できるように、様々な教育的施策と環境を整えることを目指しています。
園内の自然豊かな環境、異年齢間の交流、地域社会との連携、そして芸術や文化への接触は、
子どもたちの五感を刺激し、感性を磨き、多様な視点から世界を理解する力を育てます。
今回の計画はただの育ちの場ではなく、子どもたちが日々の生活の中で自然に学び、
感じることができる「生きる力」を育む場所の創造です。
私たち設計者は、法人様の保育に対する思いのもと、保護者や地域の方々とも密接に協力しながら、
子どもたち一人一人がそれぞれのペースで成長できる園舎作りを続けています。
私たちがお客様と共に創る園舎が子どもたちの可能性を最大限に引き出し、
彼らが未来に向けて自信を持って歩んでいけるよう最大限努めていきたいと思います。
私たちの想いが、より多くの方に理解され、支持されることを願いながら、
これからも子どもたちのための最良の環境を模索し提案し提供し続けていければと思っています。
このブログを通じて、このプロジェクトの魅力を感じ取っていただければ幸いです。