幼稚園の設置基準とは?人数や面積、遊具等、園舎設計・デザインのポイントを解説
幼稚園の園舎を設計する際には、学校教育法によって定められた設置基準を遵守する必要があります。
この記事は、人数や面積、遊具など、幼稚園の設置基準について詳しく解説します。
園舎設計やデザインのポイントについても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
幼稚園設置基準を見てみよう
まずは、幼稚園の設置基準について解説しましょう。
幼稚園の設置基準は、学校教育法の第三条の規定に基づいて定められています。
ただし、幼稚園の設置基準では、あくまでも「幼稚園を設置するために必要な最低の基準」を示しており、幼稚園の設置者は、幼稚園の水準の向上を図ることに努めなければなりません。
ここでは、幼稚園設置基準のなかでも、特に注目しておきたい以下の5項目について説明します。
■ 1学級当たりの人数
■ 園舎・運動場の面積
■ 施設・設備
■ 遊具・教具
■ 飲料水
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1学級あたりの人数
幼稚園の設置基準の第三条において、「1学級の幼児数は、35人以下を原則とする」と定められています。
なお、職員の配置数は、1学級当たり専任教諭1人を置くことが基準となっています。
保育園の場合、3歳児は児童20人につき1人、4・5歳児は児童30人に1人の職員を配置しなければならないため、幼稚園の設置基準のほうが若干緩やかといえますが、実際には1学級を30人までとしている園さんも多く見られます。
園舎・運動場の面積
幼稚園の園舎・運動場の面積の基準としては、以下のような定めがあります。
【園舎の面積基準】
学級数 必要な面積
1学級 180㎡
2学級 320㎡
3学級以上 1学級につき100㎡
【運動場の面積基準】
学級数 必要な面積
1学級 330㎡
2学級 360㎡
3学級 400㎡
4学級以上 1学級につき80㎡
いずれも子どもたちの数ではなく、学級数に応じた基準になっているのがポイントです。
施設・設備
幼稚園には、設置基準第九条において、次の施設・設備を備えることが義務付けられています。
■ 職員室
■ 保育室
■ 遊戯室
■ 保健室
■ 便所
■ 飲料水用設備、手洗用設備、足洗用設備
また、保育室の数は、学級数を下回ってはいけないという基準もあります。
さらに、幼稚園設置基準の第十一条において、幼稚園には、次の施設・設備を備えることが努力義務として定められています。
■ 放送聴取設備
■ 映写設備
■ 水遊び場
■ 幼児洗浄用設備
■ 給食施設
■ 図書室
■ 会議室
園具・教具・遊具
幼稚園の設置基準第十条には、「学級数及び幼児数に応じ、教育上、保健衛生上及び安全上必要な種類及び数の園具及び教具を備えなければならない」という定めがあります。
園具とは、教育上必要な机や椅子など、教具とは、教育上必要な機械や器具などのことです。
なお、ブランコや滑り台などの「遊具」については、設置基準において具体的な規程が定められているわけではありません。
どのような遊具を揃えるかは、各幼稚園の判断に委ねられています。
飲料水
幼稚園の設置基準第九条において、幼稚園には必ず飲用水用設備を備えなければならないという定めがあります。
また、飲料水用設備は、手洗用設備や足洗用設備と区別して備えなければならず、飲料水の水質は、衛生上無害であることが証明されたものでなければなりません。
飲料水に限ったことではありませんが、井戸水を遊びなどで利用する事例も多いかと思います。
その際にも、運営様側にてしっかりと水質の検査をした上での利用となっており、安全性に配慮した利用となっています。
幼稚園設置基準に沿った園舎設計・デザインのポイント
幼稚園の園舎設計では、幼稚園設置基準の遵守が求められます。
具体的に、どのようなポイントに配慮すべきなのか、詳しく説明しましょう。
安全性を確保する
幼稚園の園舎は、安全性を重視して設計しなければなりません。
例えば、死角を作らない、門周りに囲障を配置するなど、保育者が子どもたちをしっかり監視できるような体制を整えることが大切です。
自発的・自主的な活動を促す
園舎の設計を工夫することで、子どもたちの自発的・自主的な活動を促すことができます。
例えば、園舎から園庭へ出やすくするために廊下をなくすと、子どもたちが自由に行き来しやすくなります。
また、遊び道具や絵本は、収納しやすい棚を作っておくことで、子どもたちが自発的に片付けをするようになるでしょう。
遊びながら体験・学べる空間
幼稚園の園舎には、遊びながら体験できたり、さまざまなことを学べたりする空間があることが望ましいです。
園舎内に開放的な遊び場のスペースを確保することで、子どもたちが年齢の垣根を越えて一緒に遊べる空間を作ることができます。
異年齢とのつながりは、子どもたちのコミュニケーション力を向上させるのに有効です。
また、給食室に大きな窓を設置することで、給食の調理過程を子どもたちが見学できるようになり、食育にもつながるでしょう。
安全性・耐久性を備えた遊具を設置
園庭だけでなく、園舎内にも屋内用の滑り台やぶらんこなどの遊具を設置している幼稚園もあります。
園舎内に遊具があれば、子どもたちは雨の日でも思い切り体を動かして遊ぶことができるでしょう。
ただし、設置する遊具は、安全性と耐久性を備えたものでければなりません。
また、定期的に点検を行い、危険がある場合はすぐに修繕を行うことも大切です。
屋内遊具を専門的に取り扱っているメーカーもあるので、幼稚園への設置に適した基準を満たす遊具について調べてみると良いでしょう。
四季の変化や自然に触れ合える空間
幼稚園の園舎内にも、四季の変化や自然に触れ合える空間を設置することをおすすめします。
例えば、園庭を見渡せる大きな窓を設置することで、子どもたちは室内からでも四季の変化を感じ取ることができるようになります。
「お花がきれいに咲いたね」「葉っぱが赤になっているね」など、四季折々の変化について語りかけてあげると、さらに良いかもしれません。
また、園舎内に緑化コーナーを設置したり、保育室内で生き物の飼育体験をさせてあげたりするのもおすすめです。
自然との触れ合いは、子どもたちの感性を磨くことにもつながります。
幼稚園設置基準に適合する幼稚園設計・デザインはサイプラス(SAI+)にご相談ください
幼稚園の園舎を設計する際には、法律で定められた設置基準を考慮する必要があります。
子どもたちがのびのびと安心して遊べる園舎を設計するためには、安全性への配慮や自発的・自主的な活動を促す空間作りなど、さまざまな視点での工夫が必要です。
幼稚園の園舎設計は、幼児教育施設を専門に手がけている設計事務所に依頼するのが望ましいでしょう。
私たちサイプラス(SAI+)は、保育園や幼稚園・認定こども園などの園舎を多数手がけてきた設計事務所です。
設置基準を満たす園舎の設計はもちろん、子どもたちにとっても保育者にとっても過ごしやすい園舎づくりの提案をさせていただきます。
実際に、幼稚園や認定こども園などでこだわりの園舎を設計してきた事例が多数ございますので、ぜひ参考にしてみてください。
https://sai-archi.com/achievements
また、私たちは、園舎を設計するうえで、実際にそこで働く保育者様や園の責任者様との対話を大切に考えています。
「子どもたちがのびのび遊べる場を作って欲しい」「開放感のあるホールを設計したい」など、園舎の設計における理想がある場合は、ぜひ私たちに教えてください。
お互いに意見を出し合いながら、理想の園舎を作り上げていきましょう。