保育園の天井高はどれくらい必要?建築基準法の規定や平均について
保育園・こども園の園舎を設計する際には、天井高にも着目しましょう。
建築基準法上の「児童福祉施設等」に分類される保育園・こども園では、適切な天井高の規定が定められています。また、天井を高くすることで開放感が生まれ、子どもたちがのびのびと遊べる空間を演出できるというメリットもあります。
ここでは、建築基準法で定められている保育園の天井高の規定や平均、天井材を選ぶポイントについても解説します。
保育園・幼保連携型認定こども園は建築基準法上の「児童福祉施設等」
保育園・こども園の園舎設計でまず把握しておきたいのが、保育園・こども園と幼稚園では、建築基準法上の施設用途の分類が異なるということです。
保育園や保育所型及び幼保連携型の認定こども園、学童クラブなどは、建築基準法上の施設用途分類において「児童福祉施設等」に分類されます。
一方、幼稚園と幼稚園型の認定こども園は、小学校や中学校と同じ「教育施設(学校)」に分類されます。
そのため、一見すると同じようにも思える保育園や幼稚園でも、天井高を考えるときは、それぞれの建築基準を確認する必要があります。
一番大きな違いとして、窓を排煙設備として扱う必要があるか無いかという点になります。保育園など「児童福祉施設等」は一定の規模以上で排煙設備が必要になります。
窓を排煙設備として扱う場合には、天井の高さが排煙の計算に非常に大きく関係してきます。
保育園の天井高は何m以上必要?
園舎の天井高は、実際に何m以上必要なのでしょうか。
保育室やランチルームは、建築基準法2条4号の「居室」に該当します。
建築基準法施行令第21条では、居室の天井高について、以下のような記載があります。
“(居室の天井の高さ)
第二十一条 居室の天井の高さは、二・一メートル以上でなければならない。
2 前項の天井の高さは、室の床面から測り、一室で天井の高さの異なる部分がある場合においては、その平均の高さによるものとする。“
引用元:建築基準法施行令 | e-Gov法令検索
つまり、園舎の保育室やランチルームの天井は、2.1m以上の高さにする必要があるということです。
ただ、前に記載したような排煙の規定があり、さらに排煙区画という天井から50㎝の垂れ壁が必要な部分がある場合は、
その部分が2.1m-0.5m=1.6mとなって大人の人は頭がぶつかってしまいます。
最低でも天井高さは2.4mはあった方が無難です。
保育園の天井高の平均は?
建築基準法の規定上は2.1m以上ですが、実際には2.4~3.0mほどの天井高に設計されている保育園が多く、なかには5m以上の保育園もあります。
保育園の天井が高いと、以下のようなメリットがあります。
□開放感が演出できる
□日光を取り入れやすくなる
□間取りの自由度が上がる
日光が差し込む開放的な保育室やランチルームは、子どもたちがリラックスしてのびのびと過ごせる空間になるでしょう。
逆に天井高さが1.4m以下で一定の基準を満たすスペースは、面積にも階数にも参入しなくてよいという規定があります。
この規定を活かして子どもたちが大好きな「狭いスペース(隠れ家)」や、先生たちが使いやすいように倉庫や収納として確保するなどの工夫をすることができます。
また、天井が高い事でのデメリットにも配慮する必要があります。
天井が高いと当然建設コストがかかります。また、空調や換気などランニングコストも大きくなりがちで、光や温度などの調整を考慮する事が多くなります。
開放感や日光を取り入れるなど良い面とのバランスに配慮する必要があります。
保育園の天井材を選ぶポイント
保育園の園舎を設計する際は、天井高だけではなく、天井材にも着目しましょう。
保育園の天井材を選ぶときは、以下のポイントをチェックしてみてください。
吸音・防音効果
天井材でまず重視したいのが、吸音・防音効果です。
保育園では、子どもたちが遊び回ったり、ピアノ伴奏に合わせてみんなでおうたを歌ったりします。
子どもたちの声は大人の声よりも響きやすいため、住宅街にある保育園の場合は特に、近隣住民への配慮も必要となるでしょう。
吸音・防音効果のある天井材を用いることで、近隣への防音対策になるのはもちろん、保育室内の音環境が良くなるというメリットもあります。
音の反射を防ぎ、雑音がカットされることで、子どもたちが先生の声を聞き取りやすくなるでしょう。
色・形状
保育園の天井材は、色や形状などのデザインも大事なポイントです。
例えば、クラスごとに天井の色を分けることで、子どもたちが部屋を間違えにくくなるでしょう。
また、色だけでなく凹凸のあるデザインが施された天井材も人気です。
天井の表情を豊かにすることで、子どもたちも保育室で過ごすのが楽しくなるでしょう。
調湿機能
子どもたちが快適に過ごせる保育室をつくるには、調湿機能付きの天井材を用いるのもおすすめです。
調湿機能とは、室内の湿度を調整してくれる機能のことです。
湿度が高いときは空気中の湿気を吸収し、湿度を下げてくれます。反対に、湿度が低いときには溜め込んだ湿気を放出して、適切な湿度まで引き上げてくれるのです。
室内の湿度は、体感温度に大きく影響を与えます。
特に夏場は湿度調整を行うことで、エアコンの設定温度を一定に保つことができ、省エネにもなります。
防臭効果
たくさんの子どもたちが集まる場所だからこそ、重視したいのが防臭効果です。
汗の臭いや下駄箱の臭いはもちろん、低年齢のクラスではオムツの臭いが気になってしまう人も多いでしょう。
防臭効果のある天井材なら、気になる臭いを吸着して解決してくれます。
防火性
万が一に備えて重視したいポイントが、防火性です。
建築基準法には、壁や天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料にするという規定もあります。
燃えにくいだけでなく、火災時に溶けにくく、燃焼しても有毒な一酸化炭素が発生しにくい素材を選ぶようにしましょう。
保育園の天井設計はサイプラス(SAI+)にご相談ください
私たちサイプラス(SAI+)は、お客様との対話を大切にする設計事務所です。
保育園の天井高についても、2.1m以上という法律上の規定を踏まえたうえで、「開放感あふれる園舎にしたい」「日光をたくさん取り込みたい」など、皆様の思いを反映した設計を提案いたします。
これまでも、実際の保育者の皆様や園の責任者様との打ち合わせを重ねながら、理想の園舎づくりのサポートをさせていただいてきました。
天井の高さや天井材にこだわった園舎づくりについては、ぜひサイプラス(SAI+)にご相談ください。