子どもたちが安心して過ごすために、保育園や幼稚園、認定こども園などの安全対策は重要です。
保育園や幼稚園、認定こども園などでは、毎年重大事故(死亡事故・治療期間が30日間を超える重篤な事故など)が起きており、令和3年度の報告件数は1,867件です。
子どもたちを重大事故から守るためには、どのような設計が必要になるのでしょうか。
この記事では、保育園や幼稚園、認定こども園などで重大事故が起こりやすい場所を具体的に紹介し、設計や施設内設備における安全対策のためのチェックポイントを解説します。
保育園や幼稚園、認定こども園などで重大事故が起こりやすい場所はどこ?
保育園や幼稚園、認定こども園で発生した重大事故のうち、約9割が園の施設内で起きています。
まずは、保育園や幼稚園、認定こども園などで重大事故が起こりやすい場所、注意したいポイントを解説します。
保育室
重大事故のうち、SIDS(乳幼児突然死症候群)や窒息などによる死亡事故は、保育室内で起きています。
特に、0歳児の午睡中の死亡事故は、毎年のように発生しているため、徹底した安全対策が必要とされます。
また、腰窓やバルコニーからの転落事故もありますので、安全対策が必要です。
ランチルーム
次に重大事故が起こりやすいのは、子どもたちが食事を楽しむランチルームです。
ランチルームでは、食べ物を喉に詰まらせて窒息したり、アレルギーを持つ子どもに誤ってその食べ物を配膳し、アナフィラキシーを起こしたりといった事故が発生しています。
プール
水遊びができるプールは子どもたちに人気の場所ですが、ここにも危険が潜んでいます。
夢中になって遊ぶあまり溺れてしまったり、水を大量に飲み込んでしまったりと、水中での事故が多発しています。
また、プールサイドは滑りやすいため、転倒して頭を打つなどの重大事故につながる恐れもあるでしょう。
園庭
保育士の目が行き届きにくい園庭も、事故が発生しやすい場所です。
固定遊具に首が挟まり、園児が亡くなってしまう事故も起きています。
トイレ
園舎内のトイレでも、事故は起きています。
例えば、乳児が誤って便器に落ちてしまったり、トイレ用洗剤を誤飲してしまったりすると、命に関わる危険性もあるでしょう。
また、トイレ掃除後は床が滑りやすくなるため、転倒事故が起こらないように注意が必要です。また、便器を伝って腰窓に上ってしまう事例も出てきました。腰窓からの転落事故にならないよう対策が必要です。この事例についてはあらためて記載したいと思います。
廊下
幼い子どもたちは、保育士がいくら「廊下は走らないでね」と呼びかけても、ついつい走ってしまうことがあります。
廊下は保育士の目が行き届きにくい場所です。
気づかないうちに子ども同士でトラブルが発生し、押し飛ばされたりして怪我をしてしまう子もいるでしょう。
角が尖った家具などを置いておくと、重大な事故につながる恐れもあります。
保育園や幼稚園、認定こども園などに求められる安全対策!【設計・施設内設備】
ここからは、保育園や幼稚園、認定こども園などに求められる安全対策をまとめていきます。
事故が起きやすい場所を踏まえたうえで、安全に配慮した園舎設計・施設内設備の工夫をしていきましょう。
衝撃を和らげるクッションフロア
園舎内の床は、クッションフロアを採用することをおすすめします。
クッションフロアは、転倒時の衝撃を和らげてくれるのはもちろん、水やお茶などがこぼれても掃除がしやすく、足音が響きにくいといったメリットもあります。
保育室はもちろん、子供たちが走り回ることが多い遊戯室や廊下もクッションフロアにしておくと安心です。
足元や手元がよく見える照明
園舎の照明は、できるだけ明るいほうが望ましいでしょう。
足元が見えにくいと、子どもが誤って転倒してしまう可能性が高くなるからです。
また、手元が見えにくいと保育士のミスを誘発するリスクがあります。
アレルギー除去食と普通食を取り違えてしまうなど、重大事故につながり兼ねないため、足元や手元がよく見える環境づくりを意識しましょう。
壁コーナー部のR(曲面)加工
壁コーナー部のR(曲面)加工は、これから園舎を建てるすべての園におすすめしたい安全対策です。
子どもが保育室内で転倒し、壁のコーナーに頭をぶつけると、出血してしまうこともあります。重大事故を防ぐ安全対策としてはもちろん、R(曲面)加工は園舎を優しい雰囲気にできるというメリットもあります。
扉の開閉時に指をはさみにくいドア
園舎内では、扉に指を詰める事故も起こりやすいです。
勢いよく閉めたドアに子どもの指がはさまると、骨折などの怪我につながります。
保育室のドアには、ゆっくりと閉まるドアや戸先ゴム付きのドアなど、指をはさみにくいドアを採用することをおすすめします。
トイレは滑りにくい床材
保育園のトイレの床材は滑りにくいもの採用しましょう。
保育園のトイレは、掃除後だけでなく、子どもたちが手を洗った後なども濡れてしまうことが想定されます。
転倒を防ぐ安全対策としては、床材選びがポイントです。
また、便器を伝って腰窓に上ってしまう件に関しましては、腰窓からの転落事故にならないよう対策が必要です。
事務所・職員室からの視認性の確保
保育園で発生している重大事故の多くは、保育士の目の届かないところで起きています。
安全対策としては、園舎内はもちろん、園庭についても事務所や職員室からの視認性を確保することが重要です。
園で働く大人全員が常に子どもたちを見守れる見通しの良い園舎設計は、重大事故の抑制につながります。
有害な建材をつかわない
ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどの揮発性有機化合物は、シックハウス症候群の原因になると言われています。
シックハウス症候群とは建材等から発生する化学物資による健康被害のことで、鼻水、のどの痛み、吐き気、頭痛などの症状が起こります。
保育園の安全対策としては、設計や施設内設備以外にも、建材にこだわることが重要です。
安心・安全な保育園設計はサイプラス(SAI+)にご相談ください
子どもたちが安心してのびのびと過ごせる保育園をつくるには、安全対策の徹底が求められます。
私たちサイプラス(SAI+)は、数多くの保育園・幼稚園・認定こども園の園舎を手がけてきた設計事務所です。
子どもたちのことを考えた建材選びから、安全対策を踏まえた設計に至るまで、理想の園舎をつくるお手伝いをさせていただきます。
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