保育園や幼稚園、認定こども園は、多くの子どもが一日の大半を過ごす大切な施設です。
近年は地震の発生が全国各地で相次ぎ、これまで以上に園舎の安全性を確保することが求められています。
特に築年数が経過した園舎の場合、耐震性能が現行の基準を満たしていない場合があり、早期の補強工事が必要です。
この記事では、保育園・幼稚園・認定こども園が実施すべき耐震補強工事の重要性や、工事の流れ、補助金制度などをわかりやすく解説します。
園舎の耐震対策の必要性

南関東では、今後30年以内にマグニチュード7クラスの大地震が発生する確率が70%と予測されています。
保育園・幼稚園・認定こども園は、子どもたちと職員が長時間過ごす場所であり、災害時の安全確保は経営者にとって最重要課題です。
既存の園舎が現行の耐震基準を満たしていない場合でも、耐震診断を行い、必要に応じて補強設計・改修工事を実施すれば、地震にも強い園舎へと生まれ変われることができます。
大地震はいつ起こるかわかりません。
特に、1981年6月以前に旧耐震基準で建てられた築44年以上の園舎では、万が一の災害時に子どもや職員の命を守れない可能性があります。
そのため、今から計画的な診断と改修を進め、園全体の安全体制を整えることが大切です。
園舎の耐震補強工事の流れ

園舎の耐震補強は、子どもたちと職員の命を守るだけでなく、保護者からの信頼や園のブランド価値を高めるうえでも大切な投資です。
まずは、園舎の耐震補強工事の基本的な流れについて、実際に着手する際のポイントとあわせて解説します。
耐震診断
耐震補強工事をする前に行うのが、「耐震診断」です。
耐震診断とは、既存の園舎が現在の耐震基準をどの程度満たしているかを調べる調査で、建築士や構造設計の専門家が建物の図面や現地を確認し、壁や柱、基礎などの強度を詳細に評価します。
診断の結果、耐震性が不足していると判定される場合があります。
その際は、補強が必要な箇所を確認し、適切な方法を検討することが必要です。
耐震補強工事
耐震診断によって補強が必要だと診断されたら、「耐震補強工事」を行います。
耐震補強工事とは、既存の園舎をそのまま利用しながら、柱や梁の補強、壁の増設、鉄骨ブレースの取り付けなどを行い、建物全体の耐震性を高める工事です。
改築よりも費用を抑えつつ、現行基準に近い安全性を確保できます。
工事期間中は、仮設園舎を設置するか、または工事エリアを分ける形で、段階的に施工を進めるのが一般的です。
どちらの場合も園児の安全を確保し、保育を継続できるようにな工夫が必要になるでしょう。
耐震改築工事
また、診断の結果、老朽化が著しい場合や補強だけでは十分な耐震性が確保できない場合には、「耐震改築工事」が検討されます。
耐震改築工事とは、園舎を建て替えて、最新の耐震基準を満たす新園舎を建設する方法です。
設計から完成まで時間とコストがかかりますが、断熱性やバリアフリー対応、防火性能なども同時に向上させることができ、長期的に見れば運営効率や維持管理コストの削減につながるケースもあるでしょう。
自治体によっては改築に対しても補助金や助成金制度を設けているため、計画段階で行政への相談を早めに行うことが重要です。
園舎の耐震補強工事の進め方

続いては、実際に耐震補強を進める際の具体的なステップと、活用できる支援制度を紹介します。
専門家への相談
最初のステップは、耐震診断や補強計画に精通した専門家への相談です。
自治体の登録業者や相談窓口を利用して、建築士や建築設計事務所に相談しましょう。
診断では、図面調査・現地調査を通して壁や柱、基礎部分の強度を数値化し、必要な補強方法を提案してもらうのが基本の流れです。
園舎専門の建築設計事務所への相談
耐震補強工事を行う際には、子どもたちの保育中の安全確保を考慮した計画が必要です。
園舎の設計に実績のある建築設計事務所に依頼すると、工事中も保育を続けられる動線確保や、防音・断熱など将来の快適性を意識した提案を受けられます。
サイプラス(SAI+)では、できる限り園舎の敷地内に仮設園舎を建設することをおすすめしています。
また、仮設園舎を建てる事なく、既存の園舎の一部を仮設園舎の代わりとして使いながら、新しい園舎を建てた実績もございます。
認定こども園 蒲原学園幼稚園(既存棟とつながり、園庭とつながる新園舎)
補助金や税制優遇制度の活用
園舎の耐震補強には多額の費用がかかるため、補助金や税制優遇制度を最大限に活用しましょう。
東京都には「私立学校施設耐震化推進事業補助金」があり、耐震診断から補強工事まで幅広く対象経費が支援されます。
ほかにも、地域防災拠点施設整備事業や固定資産税の減免制度も活用可能です。
実際に、都内の私立幼稚園では診断費用の2/3、工事費の1/2を補助金で賄えた事例もあるようです。
計画初期の段階から行政窓口や専門家と連携し、申請期限や必要書類を確認しておくことが重要です。
仮設園舎の設置・耐震補強工事の実施
園舎の耐震補強工事は、鉄骨ブレースの取り付け、壁の増設、基礎補強など、工期は数ヶ月から半年以上かかるケースもあります。
工事期間中も、園児が安全に保育生活を続けられる環境を確保するには、園庭や近隣敷地に仮設園舎を設置し、工事エリアを分けて進めるのがおすすめです。
仮設園舎の設置費用も補助対象となる自治体があるため、見積もり段階で確認しておきましょう。
完成後は現行耐震基準を満たした安全な園舎となり、保護者や地域からの信頼向上にもつながります。
園舎の耐震補強工事はサイプラスにご相談ください
園舎の耐震補強は、子どもたちと職員の命を守る重要な取り組みです。
築年数が経過した建物は現行の耐震基準を満たしていない場合が多く、早急な診断と補強計画が求められます。
サイプラス(SAI+)は保育園・幼稚園・認定こども園など教育施設の耐震改修に豊富な実績を持ち、初期診断から補助金申請サポート、工事完了まで一貫して対応します。
専門家による的確な診断と、園児の安全や保育の継続を考慮した施工計画で、安心して工事を進められるのが強みです。
自治体の補助金や税制優遇制度の活用方法もアドバイスし、費用面の負担軽減をサポートします。
耐震補強工事をはじめ、子どもたちが安心して過ごせる安全な園舎設計は、ぜひサイプラスにご相談ください。

