保育園(保育所)の認可基準とは?認可と認可外の違いを分かりやすく解説
保育園(保育所)が認可を受けるためには、国や自治体が定める基準を満たす必要があります。主な認可基準としては、保育士の資格や配置基準、施設の広さなどが挙げられます。
この記事では、保育園の認可基準を詳しく解説するとともに、認可保育園と認可外保育園の違いを分かりやすく解説します。
保育園(保育所)の認可基準
保育園(保育所)とは、保護者の就労などの理由により、家庭での保育が難しい乳幼児を預かるための施設です。
まずは、保育園の認可基準について詳しく解説します。
<認可保育園>
職員の資格:保育従事者全員が有資格者(保育士)
職員の配置:子どもの年齢に応じた配置基準あり
施設・設備:保育室の広さ→幼児1人あたり1.98㎡以上
給食:提供義務あり
職員の資格
認可保育園では、保育に従事する職員全員が保育士資格を持つ必要があります。
ただし、0歳児〜4歳児を4名以上受け入れる場合、保健師または看護師を1名まで保育士としてカウントできる特例があります。
職員の配置
職員の配置基準は、子どもの年齢によって細かく設定されています。
<認可保育園>
0歳児: 子ども3人に対し保育士1人
1・2歳児: 子ども6人に対し保育士1人
3歳児: 子ども15人に対し保育士1人
4歳児・5歳児: 子ども25人に対し保育士1人
配置基準は、2024年度に76年ぶりの見直しが行われ、3歳児〜5歳児における保育士1人に対する子どもの数が減らされました。
さらに、2025年度以降には、1歳児の配置基準も見直される予定です。
施設・設備
保育園の施設や設備については、子どもの安全性や快適性を考慮した基準が設けられています。
例えば、保育室の面積は幼児1人あたり1.98㎡以上が必要とされています。
また、認可保育園として運営するには、以下の施設・設備を設置しなければいけません。
■保育室または遊戯室(2歳以上)
■乳児室またはほふく室(2歳未満)
■医務室
■トイレ
■調理室
■屋外遊戯場(近所の公園や神社の境内などで代替も可能)
園舎を建築する際は、認可基準を満たすよう設計段階から十分に考慮する必要があります。
給食
認可保育園では、給食の提供が義務付けられており、調理室の設置が義務付けられています。
また、厚生労働省の「保育所における食事の提供ガイドライン」では、「食事は安全、安心であることが基本」とされており、栄養バランスの確保や食物アレルギーを持つ子どもへの配慮、適切な衛生管理などが必須とされています。
さらに、食育の推進も重要なテーマとして位置付けられているため、子どもたちの食に対する興味や知識を深められる機会を積極的に設けることも重要です。
保育園(保育所)の認可・認可外の違い
ここまで認可保育園(保育所)の基準を解説してきましたが、自治体からの認可を受けず、「認可外保育園」として運営することも可能です。
認可外保育園は、認可基準をすべて満たす必要はないものの、自治体への届出が義務付けられており、一定の安全基準をクリアしなければ運営することができません。
保育園の認可・認可外の大きな違いは、国や自治体からの補助金を活用できるか否かです。
認可保育園は、国や自治体からの補助金を活用できる一方で、職員の資格、配置、施設・設備などの複数の基準を満たす必要があります。
認可外保育園は、国や自治体からの補助金の活用はできないものの、運営の柔軟性が高く、独自のカリキュラムや保育システムを導入しやすいというメリットがあります。
地域型保育事業の認可基準
保育事業には認可・認可外保育園(保育所)のほかに、「地域型保育事業」があります。
地域型保育事業とは、平成27年4月に施行された「子ども・子育て支援新制度」において、新たに認可事業として位置付けられ、公的給付の対象となった事業です。
保護者の多様な働き方に対応し、待機児童問題を解消するとともに、地域における子育て支援を強化することを目的としています。
具体的には以下の4つの事業が展開され、それぞれ認可基準が異なります。
■小規模保育事業
■家庭的保育事業
■事業内保育事業
■居宅訪問型保育事業
小規模保育事業
小規模保育事業とは、0歳児〜2歳児を対象に定員19人以下の小規模な施設で保育を提供する事業で、以下の3種類に分類されます。
<小規模保育事業>
A型: 小規模な保育園
保育士が保育に従事するのが原則
B型: 保育園と家庭的保育事業の中間
職員の半数以上が保育士であれば運営可能
C型: 家庭的保育事業に近い
保育士資格は必須ではない
小規模保育事業の認可基準は以下の通りで、A型・B型・C型という区分によって異なります。
小規模保育事業(A型)
職員の資格:保育従事者全員が有資格者(保育士)
職員の配置:認可保育園の基準+1人
施設・設備:0・1歳児:1人あたり3.3㎡以上、2歳児:1人あたり1.98㎡以上
給食:提供義務あり
小規模保育事業(B型)
職員の配置:保育従事者の2分の1が有資格者(保育士) 認可保育園の基準+1人
施設・設備:0・1歳児:1人あたり3.3㎡以上、2歳児:1人あたり1.98㎡以上
給食:提供義務あり
小規模保育事業(C型)
職員の配置:家庭的保育者 0歳児〜2歳児3人に対し、保育者1人
施設・設備:0歳児〜2歳児:1人あたり3.3㎡以上
給食:提供義務あり
家庭的保育事業
家庭的保育事業とは、家庭的保育者が自宅などで少人数の乳幼児の保育をすることで、「保育ママ事業」と呼ばれることもあります。
家庭的保育者とは、保育士または市町村長が実施する認定研修を受講し、保育士と同等以上の知識や技術があると認められた者を指します。
家庭的保育事業の認可基準は、以下の通りです。
職員の資格 職員の配置 施設・設備 給食
家庭的保育事業 家庭的保育者 0歳児〜2歳児3人に対し、保育者1人
(家庭的保育補助者がいる場合は5人まで) 0歳児〜2歳児:1人あたり3.3㎡以上 提供義務あり
事業内保育事業
事業内保育事業とは、企業や病院などの事業所が主体となり、従業員の子どもや地域の子どもに保育を提供する事業です。
事業内保育事業の認可基準は、以下の通りです。
職員の配置 施設・設備 給食
<事業内保育事業>
職員の資格:保育従事者全員が有資格者(保育士)
職員の配置:0歳児:子ども3人に対し保育士1人、1・2歳児:子ども6人に対し保育士1人
施設・設備:0歳児〜1歳児:1人あたり1.65㎡以上、2歳児:1.98㎡以上
給食:提供義務あり
事業内保育事業の場合、定員が19人以下であるか20人以上であるかで、満たすべき基準が異なるケースもあります。
居宅訪問型保育事業
居宅訪問型保育事業とは、家庭的保育者が子どもの自宅を訪問し、1対1で保育を提供するサービスです。
居宅訪問型保育事業の認可基準は、以下の通りです。
<居宅訪問型保育事業>
職員の資格:家庭的保育者(※)
職員の配置:子ども1人に対し保育者1人
施設・設備:なし
給食:提供義務なし
認可・認可外保育園(保育所)の設計・建築はサイプラス(SAI+)にご相談ください
保育園(保育所)を設計・建築する際には、認可基準を適切に満たすが重要です。
もちろん、認可外保育園においても、子どもたちの安全性や快適性への配慮、国や自治体が定める基準に則った設計が求められます。
私たちサイプラス(SAI+)は、保育園や認定こども園、幼稚園などの園舎設計を専門的に手がけている建築設計事務所です。
認可保育園や地域型保育事業の認定基準を満たす園舎設計・建築において、多数の実績があり、補助金の活用方法や認可手続きの申請についても、適切なアドバイスが可能です。
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