施設タイプから知る

保育園、幼稚園、認定こども園。名前は聞いたことがあっても、違いを説明できる方は多くありません。

けれど、どの施設として運営するかによって、根拠となる法律も、満たすべき基準も、園舎に必要な部屋も変わります。ここでは、施設の種類ごとの違いと、それが設計にどう効いてくるのかをまとめています。

まず、成り立ちが違う

保育園(保育所)と幼稚園は、もともと別の目的でつくられた施設です。

保育所は、児童福祉法にもとづく児童福祉施設です。保護者が働いているなど、家庭で保育を受けられないこどもを預かります。0歳から預かることができ、一日の預かり時間も長くなります。

幼稚園は、学校教育法にもとづく学校です。満3歳からのこどもに教育を行います。

この違いは、そのまま園舎の違いになります。0歳から預かるなら、調乳や沐浴、午睡のための場所が要ります。給食を出すなら調理室が要ります。幼稚園では、送迎バスを使う園も多く、その動線が敷地計画を左右します。

近ごろは、幼稚園でも教育時間の後に預かり保育を行う園が増えています。その場合、午後を落ち着いて過ごせる場所が別に要ります。名前が同じ「幼稚園」でも、必要な部屋は園によって変わります。

認定こども園は、両方の機能をあわせ持つ

認定こども園は、保育所と幼稚園の両方の役割を持つ施設です。

保護者が働いているかどうかにかかわらず、こどもを受け入れられます。この形には、幼保連携型・幼稚園型・保育所型・地方裁量型といったタイプがあり、もとが幼稚園なのか保育所なのかによって手続きも変わります。

設計の面でいちばん大きいのは、降園する時間が違うこどもが同じ園舎にいることです。

昼過ぎに帰るこどもと、夕方まで過ごすこども。この二つが同じ場所にいると、お迎えのたびに保育が中断されます。

玄関や動線を分ける、午後に静かに過ごせる場所を用意する。そうした工夫が、認定こども園では特に効いてきます。

認可と、認可外の違い

保育施設は、認可を受けているかどうかでも分かれます。

認可保育所は、国の定める基準を満たし、自治体の認可を受けた施設です。面積や職員の数、設備について、満たすべき条件が決まっています。

認可外の施設にも、自治体による指導監督の基準があります。基準がまったく無いわけではありません。

このほか、0歳から2歳を中心に少人数で預かる小規模な保育の形や、企業が主体となって運営し従業員のこどもと地域のこどもを受け入れる形もあります。

小規模な保育や企業主体の施設は、既存の建物の一部を使って始めることが多くあります。その場合は、避難経路や採光、用途の変更が可能かどうかを先に確かめる必要があります。建てるより手軽に見えて、確認すべきことは少なくありません。

移行を考えるとき

いま運営している園を、別の形に移すことを検討される園もあります。

幼稚園や保育所から認定こども園へ移る場合、書類の手続きだけで済むとは限りません。受け入れる年齢が増えれば、必要な部屋も変わります。

0歳児を新たに受け入れるなら、その年齢に合った部屋と設備が要ります。給食の提供が増えるなら、調理室の広さが足りるかを確かめる必要があります。

公立の園を民間が引き継ぐ場合も、建物をそのまま使えるかどうかは、園舎の状態と、これから行う保育の形によって変わります。

移行の話は、制度の話と建物の話が絡み合います。私たちは、建物の側から「いまの園舎で何ができて、何が足りないのか」をお伝えしています。

どの形が良い、という答えはない

施設の種類には、優劣はありません。

地域にどんな家庭が多いのか、どんな保育をしたいのか、いまある建物や土地に何ができるのか。条件によって、合う形は変わります。

制度は改正されます。ここに書いた内容も、時期によって変わることがあります。最新の要件は、必ず自治体の窓口や公的な資料でご確認ください。

私たちは、制度を決める立場にはありません。ただ、それぞれの形でどんな園舎が必要になるのかは、これまでの設計からお話しできます。

最初に読むなら

どの形にするか決まっていない段階でも、ご相談いただけます。建物の側から見た違いをお伝えすることで、判断の材料が増えることがあります。

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