認可保育所の設置基準とは?小規模事業や認可外保育園との違いを分けりやすく解説
自治体の認可を受けた認可保育所を設置・運営するためには、国が定めた認可保育所の設置基準を満たす必要があります。
この記事では、認可保育所の設置基準をわかりやすく解説するとともに、小規模保育事業や認可外保育園との違い、それぞれの設置基準についても紹介します。
認可保育所とは
認可保育所とは、国が定める基準を満たし、都道府県知事による認可を受けた保育所のことです。
定員は、原則として20人以上です。
保育料は自治体が定めており、徴収も自治体が行います。
入園の申し込みも、園に直接行うのではなく、自治体に申込書を提出する方法が一般的です。
なお、認可保育所としての設置・運営が認められれば、自治体から補助金が支給される、税制が優遇されるなどのメリットがあります。
認可保育所の設置基準
保育所の基準は、厚生労働省の「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)」で区分された「従うべき基準」「参酌すべき基準」に従い、都道府県・指定都市・中核市が条例により定めています。
認可保育所を設立・運営するためには、国が定めた設置基準を満たすことが大前提ですが、地方自治体がこれを上回る基準を定める場合もあるため、事前によく確認しましょう。
ここでは、認可保育所の設備運営基準の主な内容を紹介します。
面積の基準
認可保育園の園舎設計における面積の基準は、幼児の年齢や人数によって異なります。
0歳児・1歳児の場合
0歳児、1歳児が入所する認可保育所では、乳児室またはほふく室、調理室を備えなければなりません。
乳児室・ほふく室については、面積の基準が以下のように定められています。
乳児室の面積 1.65㎡以上/人
ほふく室の面積 3.3㎡以上/人
出典:厚生労働省「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)」
2歳児の場合
2歳以上児が入所する認可保育所では、保育室または遊戯室、調理室を備えなければなりません。
また、保育室・遊戯室については、面積の基準が以下のように定められています。
保育室の面積 1.98㎡以上/人
遊戯室の面積 1.98㎡以上/人
出典:厚生労働省「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)」
職員の配置基準
認可保育所における職員の配置基準は、以下の通りです。
【保育士の配置基準】
子どもの年齢 配置基準
0歳児 子ども3人につき、保育士1人
1・2歳児 子ども6人につき、保育士1人
3歳児 子ども20人につき、保育士1人
4・5歳児 子ども30人につき、保育士1人
出典:厚生労働省「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)」
ただし、4・5歳児の保育士の配置基準については、2024年度に「子ども25人につき、保育士1人」に見直されることが決定しています。
また、認可保育所には、保育士以外にも嘱託医師・調理員※を必ず配置しなければなりません。
※調理業務を全て外部に委託する場合を除く
職員の資格
職員の配置基準で説明した保育士は、必ず保育士資格を有してなければなりません。
ただし、保健師又は看護師等の特例として、保健師または看護師の資格を有する職員を、保育士として1人まで配置することができます。
出典:厚生労働省「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)」
参考にすべき基準
厚生労働省「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)」では、「従うべき基準」のほかに、「参酌すべき基準」が定められています。
例えば、以下のような基準は、すべてを満たさなければ認可が下りないわけではないものの、保育園設立・設計の際には参考にすべきと言えるでしょう。
●屋外遊戯場を設置する
●必要な用具の備え付ける
●耐火上の基準を満たす
●所定の保育時間を満たす
●保護者との密接な連絡をとる
小規模保育事業の設置基準
小規模保育事業とは、0歳児・1歳児・2歳児の子どものみが入所する、少人数制の保育所です。
定員は認可保育所よりも少なく、6〜19人となっています。
小規模保育事業についても、国が定める基準を満たし、都道府県知事による認可を受ければ、「小規模認可保育所」となります。
なお、小規模保育事業の園は、以下の3つの類型に分かれており、それぞれに異なる認可基準が設定されています。
小規模保育事業 A型 保育所分園やミニ保育所に近い類型
小規模保育事業 B型 A型とB型の中間型
小規模保育事業 C型 家庭的保育(グループ型小規模保育)に近い類型
出典:厚生労働省「保育所等における保育の質の確保・向上に関する基礎資料」
面積の基準
小規模保育事業の面積基準は、それぞれの類型ごとに以下のように定められています。
類型 面積の基準
小規模保育事業 A型 (0歳児・1歳児):3.3㎡/人
(2歳児):1.98㎡/人
小規模保育事業 B型 (0歳児・1歳児):3.3㎡/人
(2歳児):1.98㎡/人
小規模保育事業 C型 (0歳児〜2歳児):いずれも3.3㎡/人
出典:厚生労働省「保育所等における保育の質の確保・向上に関する基礎資料」
職員の配置基準
小規模保育事業における職員の配置基準は、以下の通りです。
類型 職員の配置基準
小規模保育事業 A型 認可保育所の配置基準+1人
小規模保育事業 B型 認可保育所の配置基準+1人
小規模保育事業 C型 子ども3人につき、保育士1人
ただし、補助者を置く場合は子ども5人につき、保育士2人
出典:厚生労働省「保育所等における保育の質の確保・向上に関する基礎資料」
職員の資格
職員の配置基準で説明した保育士の資格については、以下のように定められています。
類型 職員の資格
小規模保育事業 A型 保育士資格が必要
小規模保育事業 B型 1/2以上が保育士であれば良い
また、保育所と同様に「保健師又は看護師等の特例」あり
小規模保育事業 C型 家庭的保育者(市町村長が行う研修を修了した保育士、保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村長が認める者)
出典:厚生労働省「保育所等における保育の質の確保・向上に関する基礎資料」
小規模事業B型・C型は、保育士資格を持たない人も職員として配置できます。
認可外保育所の設置基準
認可外保育所とは、都道府県知事による認可を受けていない保育施設です。
ただし、認可を受けないからといって、「何もかも自由」というわけではありません。
面積や職員の配置などについては、国の定める基準に従う必要があります。
続いては、認可外保育所における設置基準について解説します。
面積の基準
認可外保育所の保育室の面積は、概ね「乳幼児1人当たり1.65㎡以上」でなければなりません。
また、乳児(概ね満1歳未満の児童)の保育を行う場所は、「幼児の保育を行う場所と区画されており、かつ安全性が確保されていること」が求められます。
出典:文部科学省「認可外保育施設指導監督基準」
職員の配置基準
認可外保育所の職員の配置基準は、以下の通りです。
認可保育所における基準との違いはありません。
子どもの年齢 配置基準
0歳児 子ども3人につき、保育士1人
1・2歳児 子ども6人につき、保育士1人
3歳児 子ども20人につき、保育士1人
4・5歳児 子ども30人につき、保育士1人
出典:文部科学省「認可外保育施設指導監督基準」
4・5歳児の保育士の配置基準については、2024年度に「子ども25人につき、保育士1人」に見直されることが決定しています。
職員の資格
認可外保育における職員の資格については、「 保育に従事する者の概ね3分の1(保育に従事する者が2人の施設や2人体制での勤務が必要な施設に関しては1人)以上 が 、保育士又は看護師の資格を有する者であること」が求められます。
出典:文部科学省「認可外保育施設指導監督基準」
保育所の設置基準を満たさないとどうなる?
認可保育園および認可外保育所については、年1回以上の行政監査が行われます。
設置基準を満たしていない場合は改善指導を受けることになるでしょう。
「認可外」という言葉により誤解されている方もいるかもしれませんが、「認可外だから基準を満たさなくても良い」というわけではないのです。
認可保育所の設置基準に則った設計・デザインはサイプラス(SAI+)にご相談ください
認可保育所を設置・運営するためには、国の定める設置基準をすべて満たす必要があります。
私たちサイプラス(SAI+)は、保育園や幼稚園、認定こども園などの設計を数多く手がけてきた設計事務所です。
園舎や園庭に関して、認可保育所の設置基準に則った設計プランをご提案させていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。