設計事務所とゼネコン、園舎はどちらに頼めばいいのか

「設計事務所」と「ゼネコン」、どちらに園舎の相談をすればいいのか迷う理事長は少なくありません。両方に話を聞いてみたものの、何が違うのかはっきりしないまま決めてしまった、という声もよく聞きます。

依頼先は、この2つだけではありません。ほかにも選択肢はあります。ただ、園の新築・建て替えの相談で名前が挙がることが多いのはこの2つなので、この記事ではこの2つで比べます。

どちらが優れているという話ではなく、頼める中身と依頼の形が違うだけです。その違いを知っておくと、自分の園に合う進め方が見えてきます。

設計事務所とゼネコン、それぞれ何を頼める会社なのか

同じ「園舎を建てる」相談でも、設計事務所とゼネコンでは頼める中身が違います。

設計事務所は「設計と工事監理」を担う

設計事務所は「設計」と「工事監理」を仕事にしています。設計は、園の希望を聞きながら間取りや仕上げを考えること。工事監理は、工事が始まってから図面どおりに進んでいるかを確かめることです。

建築士法では、対価を得て設計や工事監理を行うには、都道府県の登録を受けた建築士事務所である必要があります。

ゼネコンは「工事を請け負う」会社

ゼネコンは、実際に建物を建てる「工事」を請け負う会社です。基礎を掘り、柱を立て、内装を仕上げるところまで、現場の施工そのものを担います。

また、工事を請け負う会社は、原則として建設業の許可が必要です(ごく小規模な工事だけを行う場合は除きます)。ゼネコンは、その許可を受けて工事をする会社です。

つまり、設計事務所は「園舎の姿を考え、そのとおりに建っているかを確かめる」役割、ゼネコンは「実際に建てる」役割です。どちらも欠かせない仕事で、優劣の話ではありません。

依頼の形は、大きく2つに分かれる

園舎を建てるときの依頼の形は、設計と施工を別々に頼むか、まとめて頼むかの2つに分かれます。窓口が1つになるか2つになるかが、いちばんの違いです。

設計事務所に設計と工事監理を任せ、施工者を別に選ぶ形

設計事務所に設計と工事監理を依頼し、実際に工事をする施工者(ゼネコンや工務店)は別に選ぶ形です。設計事務所が園の側に立って設計を進め、工事が始まってからは工事監理者として施工を確認します。

契約と打合せの相手は、設計事務所と施工者の2つになります。設計を担当した建築士が、施工者とは別の立場で工事を確かめる形です。

間取り図を広げたテーブルを囲み、数人が指を差しながら打合せをしている様子

写真: Ivan S / Pexels

ゼネコン・工務店に設計から施工までまとめて任せる形

ゼネコンや工務店に、設計と施工をまとめて依頼する形もあります。社内に建築士を置き、設計から施工までを自社で担う会社もあります。

この場合、契約や打合せの窓口は1社にまとまります。ただし、この形でも工事監理者は建築士でなければならないという決まりは変わりません。

依頼の形の違いを示す図。設計と施工を分ける形では、園(建築主)が設計事務所と施工者にそれぞれ依頼し、設計事務所が工事監理者として施工を確認する。設計と施工をまとめる形では、建築主がゼネコン等1社に依頼し、その社内で設計担当と施工担当が分かれ、建築士である工事監理者が確認する。 依頼の形と、契約・確認の関係 設計と施工を分ける形 園 設計事務所(設計・工事監理) 施工者(ゼネコン・工務店) 工事監理者として 施工を確認・指摘 設計と施工をまとめる形 園 ゼネコン・工務店(設計と施工をまとめて受託) 社内で設計担当と施工担当に分かれ、建築士である 工事監理者が施工を確認する
依頼の形の違い。工事監理者が建築士であることは、どちらの形でも変わらない。

違うのは、設計・工事監理を担う建築士と、施工を担う会社が別の契約相手になるか、同じ会社の中に収まるかという点です。

ただし、設計と施工を同じ会社に頼む形は、いつでも選べるとは限りません。補助金など公的なお金を使う場合は、そのルールによって、設計した会社がそのまま工事を請け負えないことがあります。使う補助金や自治体の入札・契約のルールは、早めに確かめておきましょう。

工事中に「図面どおりか」を確かめる役目がある

依頼先を決めるときは、工事が始まったあと、誰が図面どおりに進んでいるかを確かめてくれるのかも、あわせて見ておくと安心です。

工事監理とは何か

工事監理とは、工事が設計図書のとおりに行われているかを、建築士が現場で図面と照らし合わせて確かめることです。

建築基準法では、一定の規模以上の建物について、建てる側(園)が、建築士である工事監理者を選ばなければならないと定められています。工事が図面どおりでなければ、施工者に是正を求める役目も担います。

ヘルメットをかぶり、クリップボードと図面を手に建設中の室内を確認している様子

写真: Pavel Danilyuk / Pexels

どちらの形でも、確かめる役目は無くならない

設計事務所に頼んでも、ゼネコンに一括で頼んでも、工事監理者が建築士である点は変わりません。変わるのは、その建築士が施工者と同じ会社の人か、施工者とは別の契約相手になるかです。

保育室の音の響き方や、子どもがぶつかりにくい角の納まりは、図面だけでは分かりにくいところです。工事の途中で現場に足を運ぶ機会がどれだけあるかは、契約前に聞いておきたい点です。

設計事務所に工事監理まで頼めば、工事が始まったあとも、園の側に立って図面どおりに仕上がっているかを現場で確かめる人がいることになります。

自分の園には、どちらが向くか

依頼先を選ぶときは、優劣で選ぶのではなく、自分の園がどんな進め方をしたいかで考えます。

窓口を1つにまとめたいか、設計と施工を分けたいか

窓口をゼネコン・工務店1社にまとめると、打合せの相手が1つで済みます。用地取得や資金計画と並行して進めたい園には、扱いやすい形といえます。

設計事務所と施工者を分けると、契約と打合せの相手は2つになります。そのかわり、施工者が決まる前の段階から、じっくり間取りや仕上げを詰められます。同じ図面をもとに、複数の施工者へ見積を依頼する進め方もとれるため、工事費の内訳を見比べやすくなります。

提案をどの段階で、どれだけ受けたいか

設計事務所に依頼する場合、施工者が決まる前から、園の思いを聞きながら間取りや仕上げの提案を重ねていけます。

ゼネコン・工務店に一括で依頼する場合は、実際に施工する会社の技術力や工法を踏まえた提案を、早い段階から受けられます。設計の内容を先にじっくり決めたいか、施工会社の強みを生かした提案を早く受けたいかで、向く形が変わります。

内装や設備の選び方は、別記事『内装デザインで重視したい5つのこと』でも取り上げています。

契約前に確認しておきたいこと

依頼先の候補と話すときは、次のような点を聞いておくと、あとの認識違いを防げます。

  • 工事監理で現場を確認する頻度と方法(月に何回現場へ来るか、写真報告か立会いか)
  • 設計の提案を受けられる段階と回数
  • 設計変更が必要になったときの扱い
  • 補助金の申請書類や自治体との事前協議を、どちらが担当するか
  • 補助金や自治体のルール上、設計と施工を同じ会社に頼む形が選べるか(候補に聞く前に確認)

なお、費用(設計料や工事費)は敷地条件や規模、依頼の形によって大きく変わります。金額は、条件をうかがったうえで個別にご案内しています。

依頼先の判断に迷ったら、SAI+(サイプラス)にご相談ください

「設計事務所とゼネコン、どちらがいいのか」は、園の状況によって答えが変わります。用地や資金計画がまだ固まっていない段階でも、思いのままでご相談いただいて構いません。

打合せを重ねながら、園の希望に合う進め方を一緒に考えていきます。そして完成まで、園のそばで支えるのが私たちの仕事です。

依頼先の決め方に迷ったら、園の計画の段階からお問合せ・資料請求にてご相談ください。

参考文献