園庭は、遊びの種類で場所を分けて考える|動と静を両立させる配置の基本

「園庭に何を置くか」を考えるとき、まず遊具のカタログを眺めることから始まる園も多くあります。

しかし遊具を選ぶ前に、決めておきたいことがあります。走り回る遊び、じっと手を動かす遊び、生き物や土に触れる遊び。園庭にはいくつもの性質の異なる遊びが混在していて、それぞれに合った場所へ分けて配置することが、使いやすさの土台になります。

同じ面積でも、性質の違う遊びを同じ場所に詰め込めば、どちらも中途半端になってしまいます。園庭づくりの相談でも、まずこの分け方から一緒に考えることが多くあります。

園庭の広さは、国の基準がどう決めているか

保育所の場合、国の基準では、満2歳以上の子ども1人あたり屋外遊戯場(園庭)3.3平方メートル以上を確保することが最低ラインです。ただし、この面積を満たすことと、遊びやすい園庭になることは別の問題です。

敷地内で確保できない場合

敷地内だけで基準の面積を確保できないこともあります。その場合、近隣の代替地を含めて計画できることもあります。

認められる条件は自治体によって異なるため、計画の早い段階で所管に確認しておくとよいでしょう。

「基準を満たす」と「遊びやすい」は別の問題

遊びの種類によって、必要な地面の材質や日当たり、音、見通しの条件が違うからです。

園の環境を計画的に構成することも大切です。園庭は単なる空き地ではなく、いろいろな遊びが同時に成り立つ場所だと考えると分かりやすいと思います。

園庭の必要性や基本的な考え方は保育園に園庭は必要?面積基準や設計のポイントをわかりやすく解説でも取り上げています。

遊びの種類によって、園庭に必要な場所は変わる

走る・跳ぶ遊び、砂や水を使う遊び、生き物や植物とふれあう遊びでは、地面の条件も置き場所の考え方もそれぞれ違います。

走る・跳ぶ運動遊び

走る・跳ぶ・追いかけるといった遊びには、平らで、適度な弾力性のある地面が向いています。

雨のあとに水たまりができにくく、転んでもけがをしにくい仕上げを選ぶと、天候に関わらず使いやすい場所になります。

遊具の足元を弾力のある青いゴムチップ舗装で仕上げた、公園の遊び場の写真

写真: Jan Wright / Pexels

地面の仕上げは完成後にやり直しにくいので、運動スペースの範囲は、遊具の配置より先に決めておくと計画がぶれにくくなります。

砂遊び・水遊び

砂や水を使う遊びは、日当たりが良く、安全で衛生的に管理しやすい場所に置くのが基本です。

走る子どもの動線上に砂場や水遊び場があると、双方にとって落ち着かない場所になってしまいます。

砂場で色とりどりのバケツを使って遊ぶ、子どもの手元を上から見た様子

写真: Karolina Grabowska www.kaboompics.com / Pexels

砂遊び場と水遊び場を隣り合わせにしておくと、日当たりや衛生管理の条件を共有でき、管理の手間も一箇所にまとめやすくなります。

生き物や植物とふれあう遊び

動植物の飼育や栽培のための場所、登ったり駆け下りたりできる築山は、自然にふれる体験を空間として受け止める工夫です。

夕方の光の中、芝生にかがんで何かを見つめる子どもの後ろ姿

写真: Ludvig Hedenborg / Pexels

築山や植え込みは完成後の手直しが難しいので、動線や日当たりの検討が固まった段階で、最後に配置を決めるくらいでちょうどよいでしょう。

遊びの種類から園庭のゾーンを分けた配置イメージ図。保育室に隣接して乳幼児専用の屋外空間を置き、運動スペースと遊具ゾーンをまとめ、砂・水遊び場と自然と関わるゾーンは運動動線から離して配置する。外周の植栽帯は見通しを妨げない密度で計画する。 遊びの種類でゾーンを分けた園庭の配置イメージ 外周: 見通しを妨げない密度の植栽帯・囲障 保育室 (乳幼児クラス) 乳幼児専用ゾーン 保育室に近接 小さな運動・砂遊び 運動スペース 走る・跳ぶ・追いかける 平滑で弾力性のある地面 固定・可動遊具 再配置できる 余地を持たせる 砂遊び場・水遊び場 日当たりが良い場所 運動動線からは離す 自然と関わるゾーン ビオトープ・築山 栽培・泥遊び場 動線を交差させない
遊びの性質ごとに場所を分けた配置のイメージです。実際の形状や比率は敷地条件によって変わります。

動と静、そして年齢で、屋外空間を分ける

走り回る動線と、じっくり座って遊ぶ場所が交わると、安全面でも遊びの質の面でも無理が生じます。年齢によって必要な場所が変わることも、あわせて考えておきたい点です。

動きの遊びと静かな遊びを近づけすぎない工夫

必要とする地面の条件も、求められる動き方も違うからこそ、動と静は近づけすぎないことが基本です。

敷地が広くない場合でも、完全に分けなくて済む方法はあります。可動遊具で仕切りを作る、使わない時間帯は用途を限定するといった、運用面の工夫もあわせて考えられます。

動線そのものを緩やかに曲げておくだけでも、走る子どもの勢いが静かな場所まで届きにくくなります。まっすぐな通路より、少し遠回りになる動線のほうが、結果として両方の遊びが両立しやすくなることもあります。

年齢によって、屋外空間の分け方を変える

3歳未満児や乳児には、年長児と同じ運動スペースではなく、保育室に近い専用の屋外空間があると使いやすくなります。

体格差や動きの速さの違いから、同じ場所を共有すると、双方にとって窮屈になりやすいためです。保育室から近い場所に小さな屋外空間があれば、午睡明けの短い時間や天気の悪い日でも、外の空気にふれる機会をつくりやすくなります。

見通しと、身を隠せる小さな場所はどちらも必要

保育者が園庭全体を見渡せる見通しと、子どもが一人で落ち着ける囲まれた場所は、どちらも欠かせません。

保育者が見渡せる配置にする工夫

植栽や遊具の高さ・密度は、見通しを妨げないように計画するのが基本です。

遊具の配置は、保育室やテラスの窓からどう見えるかとあわせて決めておくと、保育者が特定の場所に立ち続けなくても、複数のゾーンを見渡しやすくなります。窓の位置は建物が建ってしまえば動かせないため、両方を同じ段階で調整しておく必要があります。

小さな囲まれ感を残す工夫

見通しを優先しすぎると、子どもが一人になって落ち着ける小さな隠れ場所がなくなり、園庭全体がのっぺりした空間になりがちです。

植栽の配置や遊具の背面処理を工夫すれば、見通しを確保しながら、小さな囲まれ感をつくることもできます。死角をなくすことと、身を隠せる程度の囲まれ感を残すこと。この2つを両立させる工夫は、設計段階で検討しておく価値があります。

低い位置に置いた遊具や植木鉢は、地震のときに倒れて避難経路をふさぐこともあります。固定の方法や配置は、見通しの検討とあわせて考えておくと安心です。

回遊性のあるレイアウトの考え方はコーナーづくりで大事なことは?保育のポイントやレイアウト例を紹介でも取り上げています。

遊びの種類で場所を分ける園庭づくりは、SAI+(サイプラス)にご相談ください

ここでお話しした配置は、あくまで一例です。園庭の広さや形が敷地の制約で限られていても、その園らしい園庭はつくれます。

どの遊びを大事にしたいか、どんな時間を園庭で過ごしてほしいか。その思いを聞かせてもらえれば、敷地の形や広さに合わせて、遊びの場所をどう分けるかを一緒に考えていきます。

答えが敷地ごとに違うことは弱みではなく、その園だけの特色になります。計画の初期段階でも、お問合せ・資料請求からご相談ください。

参考文献