園舎建て替えの時期はいつ?費用や補助金、スケジュールを分かりやすく解説
園舎の建て替えは、子どもたちの安全と快適な学びの環境を整えるために重要なプロジェクトです。
建て替えの必要性や時期、費用やスケジュールを理解したうえで、ベストなタイミングを見極めましょう。
この記事では、園舎建て替えの時期やタイミング、費用の目安、活用できる補助金やスケジュールの組み方について解説します。
園舎建て替えの必要性
園舎の建て替えが必要かどうかは、さまざまな観点から検討することが大切です。
ここでは、法定耐用年数や平均的な建て替え時期、保育ニーズの変化に着目して、園舎建て替えの必要性について説明します。
園舎の法定耐用年数
建物および建物付属設備の法定耐用年数は、構造や用途によって異なります。
園舎の法定耐用年数は、木造22年、軽量鉄骨造27年、鉄骨造34年、鉄骨コンクリート34年、鉄筋コンクリート47年、鉄骨鉄筋コンクリート47年です。
出典:総務省「建物の耐用年数表」
法定耐用年数を超えると建物の老朽化が進み、地震や台風、火災などの災害時に危険が増すため、安全性の観点から建て替えが必要となります。
また、古い建物では設備や配管の老朽化も問題となり、修繕費用が増加する傾向があります。
園舎の平均的な建て替え時期
園舎の平均的な建て替え時期は40〜50年です。
一般的には、建物の構造的な劣化や設備の老朽化が顕著になったことを理由に、建て替えが行われています。
また、40〜50年前に建築され、現行の建築基準法や耐震基準を満たしていない園舎については、早急な対応が求められています。
保育ニーズの変化
現代の保育ニーズは、少子高齢化や就労形態の多様化に伴い、大きく変化しています。
各地域での園児数が減少する一方で、一人ひとりに対する質の高い保育が求められる傾向にあるようです。
また、共働き家庭の増加やフレキシブルな働き方の普及により、延長保育や一時保育など、柔軟な保育サービスの提供が必要とされています。
そのため、園舎の設計や設備も時代に合わせて見直すことが望ましいでしょう。
園舎建て替えを検討するタイミング
園舎の建て替えを検討するべきタイミングは、いくつかあります。
築40年以上で老朽化している
ここまで説明してきた通り、築40年以上経過した園舎は、安全性や快適性が低下している可能性が高く、耐震性能が不十分なケースも多いです。
修繕費用の増加や維持管理の手間も考慮すると、大規模修繕よりも建て替えたほうがコストパフォーマンスは高いと言えるでしょう
認定こども園に移行する
認定こども園への移行をきっかけとして、園舎の建て替えを行うのもおすすめです。
幼稚園と保育所の機能を併せ持った認定こども園へと移行するなら、園舎の機能や設備の見直しが必要となります。
例えば、長時間保育に対応するための設備、0歳児から就学前児童までを対象とした保育環境の整備が求められるでしょう。
せっかくなら建て替えたほうが、子どもたちの安全性と快適性が向上します。
認可保育園に移行する
認可保育園への移行も、園舎を建て替えるタイミングの一つです。
認可保育園は、一定の基準を満たす必要があり、施設の基準や設備の充実が求められます。
既存の園舎が認可基準を満たしていない場合は大規模改修が必要となりますが、認可保育園に移行するタイミングで建て替えたほうが、コストを抑えられる場合もあります。
認可基準に対応した園舎に建て替えることで、保育の質を向上させるとともに、地域社会における保育ニーズにより一層応えられるでしょう。
園舎建て替えにかかる費用
園舎建て替えの費用は、施設の規模や構造、地域の建設コストなどによって異なります。
独立行政法人福祉医療機構のリサーチレポート「2022 年度 福祉・医療施設の建設費について」によると、2022年度の保育所および認定こども園の建設費は、全国平均で平米単価402千円(坪単価132.8万円)、首都圏平均で平米単価456千円(坪単価150.7万円)です。
例えば、認可保育園の開設を目指す場合、敷地は100坪以上、園舎の延べ床面積は130坪以上を満たしている必要があります。つまり、130坪の園舎建て替えにかかる費用は1億7千万円〜2億円程度と予想できるでしょう。
ただし、この費用に土地の取得費用や旧園舎の解体費用、仮園舎の設置費用は含まれていません。また、最新の設備やバリアフリー対応、園庭や遊具の整備、保育室の拡充などの費用も必要になるでしょう。
園舎建て替えの費用には多くの要素が関わっており、詳細な計画と予算管理が不可欠です。
保育ニーズの変化への対応も含めて、総合的に予算を設定することが重要です。
出典:独立行政法人福祉医療機構「2022 年度 福祉・医療施設の建設費について」
園舎建て替えに活用できる補助金一覧
園舎の建て替えには多くの費用がかかるため、利用可能な補助金を活用することが重要です。
続いては、園舎建て替えに活用できる代表的な補助金を紹介します。
就学前教育・保育施設整備交付金
この補助金は、就学前教育・保育施設の整備を支援するために提供されるものです。
具体的には、園舎の新築や改修、設備の導入にかかる費用を補助します。
補助金の対象や金額、申請方法などの詳細は、各年度の要項を確認する必要があります。
保育所等改修費等支援事業(保育対策総合支援事業費補助金)
この補助金は、保育所等の改修や設備の改善を支援するためのものです。
主に、施設の老朽化対策や、安全性・衛生面の向上を目的とした改修工事、バリアフリー対応、耐震補強などの費用が対象となります。
申請には、施設の現状や改修の必要性を具体的に示す書類が求められます。
詳細な情報は、自治体の福祉課や保育課で提供されるガイドラインを参照してください。
園舎建て替えのスケジュール
園舎建て替えの具体的なスケジュールは、以下の通りです。
仮園舎の建設
まずは、子どもたちが安全に過ごせる仮園舎を、旧園舎近くに建設します。
仮園舎へ引越し/旧園舎の解体
仮園舎が完成したら引越しを行い、旧園舎の解体を行いましょう。
新園舎の建設開始
旧園舎が解体された後、新園舎の建設は基礎工事から始まり、建物の構築、設備の設置と進んでいきます。
新園舎の竣工
新園舎の建設が完了したら、各種検査を行い竣工です。
仮園舎の解体/園庭整備工事
新園舎への移行が完了したら、仮園舎の解体を行い、園庭の整備工事を進めましょう。
新園舎開園
すべての工事が完了し、新しい園舎が正式に開園します。
園舎建て替えの設計・建築、補助金はサイプラス(SAI+)にご相談ください
サイプラス(SAI+)は、保育園や幼稚園、認定こども園などの園舎設計・建築を手がける設計事務所です。
デザインと機能性を兼ね備えた安全で魅力的な保育園の園舎設計を得意とし、こだわりの園舎を数多く設計してきた事例が数多くございます。
また、サイプラスでは補助金申請のサポートも行っております。
園舎の設計・建築だけではなく、補助金申請や資金計画まで、ぜひお気軽にご相談ください。